ザガン (悪魔)

ザガン（Zagan）は、悪魔学において重要な位置を占める悪魔の一人です。別名ザガム（Zagam）とも呼ばれています。

概要

『ゴエティア』によれば、ザガンは地獄の33の軍団を率いる強大な大王であり、序列は61番に位置付けられています。その姿は独特で、最初はグリフォンの翼を持った牡牛として現れます。しかし、召喚者の前にしばらくすると、人間の姿へと変化するとされています。この変身能力は、ザガンの神秘的な力の一端を示していると言えるでしょう。

ザガンの力は多岐にわたりますが、特に注目されるのは、人に機知を与える能力です。愚鈍な者を賢く変えることができるとされ、知識や知恵を求める者にとっては魅力的な存在です。また、『ゴエティア』には、ザガンがワインを水に、血をワインに、あるいは水をワインに変質させる力を持つと記述されています。これは、物質を変化させる錬金術的な能力を示唆していると考えられます。

一方、『悪魔の偽王国』では、ザガンの能力について異なる記述が見られます。こちらによれば、ザガンはワインを水に、血を油に変化させることができ、その逆も可能であるとされています。さらに、あらゆる金属をその領地の硬貨に変えることができるとも述べられています。これらの記述は、ザガンが物質の性質を自在に操る力を持つことを強調しています。

ザガンの力

ザガンの力は、知識の伝授や物質の変質に留まらず、富をもたらす力も暗示されています。金属を硬貨に変える能力は、経済的な利益を求める者にとって大きな魅力となるでしょう。しかし、悪魔との契約は常に危険を伴うため、ザガンの力を利用する際には慎重な判断が必要です。

ザガンに関する情報は、主にグリモワールと呼ばれる魔術書に記載されています。これらの文献は、中世から近世にかけて書かれたものが多く、悪魔学や魔術に関わる知識が記されています。ザガンの記述も、これらのグリモワールを通じて現代に伝えられています。

ザガンは、グリフォンの翼を持つ牡牛という異形の姿と、人間に変身する能力、そして物質を変化させる力を持つ、神秘的な悪魔です。知識、変容、富といった様々な側面を持ち合わせており、多くの人々を魅了し続けています。

参考文献

フレッド・ゲティングズ著、大瀧啓裕訳『悪魔の事典』青土社、1992年 ISBN 4-7917-5185-X
Mathers, S.L. MacGregor and Crowley, Aleister, The Lesser Key of Solomon(1904), The Internet Sacred Text Archive 内の文書（英文）
Waite, A.E., The Book of Ceremonial Magic(1913), The Internet Sacred Text Archive 内の文書（英文）
Weyer, Johann, Pseudomonarchia Daemonum, Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書（ジョゼフ・H・ピーターソン編集・解題・注釈、ラテン語原文、レジナルド・スコットの英訳）
* Goetia, Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書（ジョゼフ・H・ピーターソン編集、英文）

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