ザ・コンプリート・オン・ザ・コーナー・セッションズ

『ザ・コンプリート・オン・ザ・コーナー・セッションズ』は、マイルス・デイヴィスの革新的な音楽性を深く掘り下げた、貴重なコレクションです。2007年にリリースされたこの6枚組ボックスセットは、1972年から1975年までの期間に録音された音源を収録しており、マイルスのファンク/ジャズ・フュージョンへの探求を余すところなく伝えます。

この時期のマイルスは、ジャズの伝統的な枠組みを超え、ジェームス・ブラウンやスライ・ストーンといった、当時の新しい音楽の要素を積極的に取り入れていました。その結果生まれた音楽は、それまでのジャズとは一線を画す、独特のリズムとサウンドを持つものでした。

収録されているのは、『オン・ザ・コーナー』、『ビッグ・ファン』、『ゲット・アップ・ウィズ・イット』といったアルバムのセッションからのアウトテイクや未発表音源です。チック・コリア、ハービー・ハンコック、ジョン・マクラフリン、ジャック・ディジョネット、ビリー・ハートなど、錚々たるメンバーが参加しており、彼らの創造性溢れる演奏が、マイルスの音楽をさらに豊かなものにしています。

このボックスセットには、6時間以上の音楽が収録されており、そのうち12曲は完全未発表、5曲は完全な形では初収録という貴重な内容です。未発表のテイクからは、マイルスの音楽制作の過程や、ミュージシャン同士のインプロヴィゼーションの様子を垣間見ることができます。

また、120ページのフルカラーブックレットには、ライナーノーツ、プロデューサーのボブ・ベルデン、ジャーナリストのトム・テレル、作編曲家のポール・バックマスターによるエッセイ、珍しい写真、新しいイラストなどが掲載されており、この時代のマイルスの音楽をより深く理解するための手がかりとなります。

『ザ・コンプリート・オン・ザ・コーナー・セッションズ』は、マイルス・デイヴィスの音楽の進化を辿る上で欠かせない作品であり、彼の革新的な精神と音楽に対する探求心を今に伝える、貴重な記録と言えるでしょう。

収録曲リスト

ディスク1から6には、未発表テイク、リミックス、オリジナルアルバム収録曲が網羅されています。特に注目すべきは、未編集マスターや別テイクなど、このボックスセットでしか聴けない貴重な音源です。

参加ミュージシャン

マイルス・デイヴィス（エレクトリックトランペット、ワウワウ、オルガン、エレクトリックピアノ）
チック・コリア（シンセサイザー、エレクトリックピアノ）
ハービー・ハンコック（オルガン、エレクトリックピアノ、シンセサイザー）
ジョン・マクラフリン（エレキギター）
ジャック・ディジョネット（ドラム）
ビリー・ハート（ドラム、ボンゴ）

その他、多数のミュージシャンが参加。

各楽曲、セッションごとに参加メンバーが異なり、マイルスの音楽性の幅広さを物語っています。

詳細なトラックリスト、参加ミュージシャンの情報は、原文を参照してください。

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