ザ・サークル (ボン・ジョヴィのアルバム)

『ザ・サークル』（The Circle）は、アメリカを代表するロックバンド、ボン・ジョヴィが2009年11月4日にリリースした11枚目のスタジオ・アルバムです。前作『ロスト・ハイウェイ』から約2年半ぶりの新作として、音楽ファンから大きな注目を集めました。日本国内では、ユニバーサルミュージックが発売・販売を担当しました。

前作『ロスト・ハイウェイ』ではカントリーロックの要素を取り入れていましたが、『ザ・サークル』では原点回帰とも言えるロックンロールを基調としたサウンドを展開しています。ボン・ジョヴィのルーツを感じさせる力強い楽曲が満載で、彼らの音楽的な幅広さを改めて感じさせる作品となっています。

アルバム収録曲の中でも特に注目されたのが「ワーク・フォー・ザ・ワーキング・マン」（Work For The Working Man）です。労働者のために歌われたこの曲は、そのメッセージ性の強さから、当時のオバマ大統領のチーフ・アドバイザーであったデヴィッド・アクセルロッド氏のオフィスに歌詞が飾られるというエピソードも生まれました。これは、ボン・ジョヴィの音楽が社会に与える影響力の大きさを物語る出来事と言えるでしょう。

初回生産限定盤（デラックス・エディション）には、特典としてトライベッカ映画祭でも上映されたドキュメンタリー映画『ホエン・ウィー・ワー・ビューティフル（WHEN WE WERE BEAUTIFUL）』のDVDが付属しました。この映画は、『ロスト・ハイウェイ・ツアー』を通してバンドの真実に迫る内容で、ファンにとっては見逃せない貴重な映像作品となっています。また、初回生産限定盤のみCDがSHM-CD仕様となっており、高音質で音楽を楽しむことができました。

『ザ・サークル』は、CDにボーナス・トラックが収録されていない点も特徴的です。これは、1986年に発売された『ワイルド・イン・ザ・ストリーツ』以来のことで、アルバム本来の構成で音楽を届けたいというバンドの意図が感じられます。

オリコンチャートでは、2005年発売の『ハヴ・ア・ナイス・デイ』から3作連続1位を獲得し、洋楽アーティストとして初の快挙を達成しました。さらに、通算5作目の1位獲得は、マライア・キャリー、サイモン&ガーファンクルと並び、洋楽アーティスト最多タイ記録となりました。これらの記録は、『ザ・サークル』が日本の音楽シーンにおいても大きな成功を収めたことを示しています。

2010年6月23日には、『ザ・サークル+ライヴ・トラックス』（The Circle+Live Tracks）が発売されました。これは、『ザ・サークル』にライブ音源を追加したもので、よりライブ感あふれるボン・ジョヴィの音楽を楽しむことができます。

アルバム収録曲の「ウィー・ワーント・ボーン・トゥ・フォロー」（We Weren't Born To Follow）は、Wii専用ゲーム『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラー』のCMソングとして使用され、幅広い層に楽曲が届けられました。

『ザ・サークル』は、ボン・ジョヴィの音楽的なルーツと新たな挑戦が融合した、彼らのキャリアの中でも重要な作品の一つと言えるでしょう。

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