ザ・ニューヨーカー

ザ・ニューヨーカー

『ザ・ニューヨーカー』（英: The New Yorker）は、アメリカ合衆国のコンデナスト社が発行する著名な雑誌です。この雑誌はもともと週刊誌として創刊されましたが、現在は年間47冊の定期刊行物として、5回の2週間号を含んでいます。

創刊と歴史

本誌は1925年の2月17日に、初の号が発行されました。創始者は、当時『ニューヨーク・タイムズ』でレポーターを務めていたハロルド・ロスとその妻ジェーン・グラントです。ロスは雑誌の初代編集長を担い、文化的な視点から特集を組むことに情熱を注いできました。1952年にはウィリアム・ショーンが2代目の編集長に就任し、彼はその後35年間、質の高い内容を維持し続けました。アメリカの著名な作家J・D・サリンジャーは、ショーンのことを「控えめでありながら、素晴らしい芸術家としての才能を持った編集者」と称賛しています。

1992年には、ティナ・ブラウンが編集長に就任し、彼女が引き継いだ後、『タトラー』や『ヴァニティ・フェア』での経験を活かし、雑誌に新たな風を吹き込みました。彼女は1998年に辞任した後、独自の雑誌『トーク』を立ち上げました。

内容と影響

『ザ・ニューヨーカー』は、ルポルタージュや批評、エッセイ、風刺漫画、詩、小説など多岐にわたるジャンルを網羅しています。主にニューヨーク市の文化をテーマにしたレビューやイベント情報を掲載しながらも、その高品質な記事はニューヨーク以外の読者にも広がっっています。特に日本の作家である村上春樹の作品が英訳され、多くの記事に掲載されるなど、国際的な影響力を持つことが分かります。

特に注目すべきは、2018年4月に発表された日本の「ファミリーロマンス」に関する特集記事です。この特集は翌年に全米雑誌賞を受賞したものの、2019年にはNHKによる同主題のドキュメンタリー制作に関して捏造の疑いが持たれました。調査の結果、当該記事の執筆者は情報源である同社経営者に騙されていたことが明らかになり、2021年1月には同賞を返上するという前代未聞の事態に至りました。

著名な作家と記事執筆者

『ザ・ニューヨーカー』には多くの著名な作家や記者が名を連ねています。中でも、トルーマン・カポーティ、ジョン・チーヴァー、ロアルド・ダール、サリンジャーなど、アメリカ文学を代表する作家たちが登場しています。さらに、ウィリアム・マクスウェルは1950年から76年まで文芸担当編集者として活躍し、著名な作家の原稿にも携わりました。彼の作品『So Long, See You Tomorrow』は1982年に全米図書賞を受賞しました。

関連項目

また、他の著名な雑誌『アトランティック』や『WIRED』などと並ぶ存在で、映画『フレンチ・ディスパッチ』でも本誌がインスパイアの源として描かれています。このように、『ザ・ニューヨーカー』はアメリカ文化の象徴であり、その影響力は現在も色あせることなく続いています。

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