ザ・ワールド・トゥナイト

ザ・ワールド・トゥナイト（The World Tonight）

ポール・マッカートニーが1997年に発表した楽曲『ザ・ワールド・トゥナイト』は、同名のシングルとしても広く知られています。この曲は、映画『ファーザーズ・デイ』のエンディングテーマとして使用され、映画の音楽において重要な役割を果たしました。また、このシングルの日本盤には、オープニング曲である「ヤング・ボーイ」がカップリングとして収録されています。シングルはイギリスのチャートで23位を記録するなど、商業的にも成功を収めました。

曲の背景と創作過程

マッカートニーは1997年夏のファンクラブ会報で、『ザ・ワールド・トゥナイト』を書いた経緯について語りました。彼はこの曲を休暇中にアコースティックギターを使って作り始め、最初はフォーク調だったと述べています。曲作りの初期段階では特にインスピレーションはなく、タイトルもなく進められていきました。「I saw you sitting at the center of the circle」という歌詞のアイデアが頭に浮かび、このフレーズから無意識のうちに曲が形成されていったといいます。

「I go back so far, I'm in front of me」という歌詞についても、マッカートニーはその内容に特に深い意味があるわけではなく、思いつきで出来たフレーズだと説明しました。何故このようなフレーズが生まれたのかは分からないものの、ジョン・レノンが同じ状況であれば「面白いので残そう」と言っただろうと考え、そのまま使用したとのことです。

サウンドと演奏スタイル

2009年のインタビューでは、マッカートニーがこの曲に含まれるギター・リフについて言及し、彼のスタイルがよりヘヴィーなものとなっていると語りました。彼はリンダに「本当にギターを弾いて」と頼まれ、その時の影響がこのアルバムにも出ていると言います。また、彼のスタイルがニール・ヤングと似ていることも触れ、シンプルでありながらもテクニカルではない素朴なギター演奏の特徴が際立っていると説明しています。

プロモーション・ビデオとライブでの披露

シングルのリリースに合わせて、2つのプロモーション・ビデオが制作されました。1つはマッカートニーが家の近くで傘を振る映像、もう一つはラジオカセットレコーダーを持って街を歩くシーンです。それぞれ異なる監督が手がけたこのビデオは、曲の独特な雰囲気を引き立てています。

興味深いことに、『ザ・ワールド・トゥナイト』はマッカートニーのコンサートで正式に演奏されたことは、2022年の時点でまだ一度もありません。しかし、1997年4月10日には、ロンドンのMPLコミュニケイションズ屋上で撮影されたドキュメンタリー『イン・ザ・ワールド・トゥナイト』の中で、同年の「ヤング・ボーイ」とともにアコースティック・ギターでの弾き語りが行われました。この特別なパフォーマンスは20分ほど続き、観客は彼の生演奏に魅了されました。

クレジット

『ザ・ワールド・トゥナイト』の制作にあたっては、ポール・マッカートニーがリード・ボーカルを担当し、バックコーラスや様々な楽器も担当しました。また、ジェフ・リンがバッキング・ボーカルやギター、キーボードなども手掛けています。この作品は、マッカートニーがソロキャリアにおいても多彩な表現を追求する姿勢を象徴するものであり、多くのリスナーに愛される楽曲となりました。

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