ザーパド大隊

ザーパド大隊について

ザーパド大隊（батальон "Запад"）は、ロシア連邦軍第42自動車化狙撃師団に配属されていた特殊任務大隊であり、その名はロシア語で「西」を意味します。この大隊は、主にチェチェン共和国での任務に従事していました。ザーパドの隊員は、ロシア連邦軍の特殊部隊、スペツナズに属し、さらにはロシア連邦軍参謀本部情報総局（GRU）の指揮下にあったことが特徴です。2005年1月の時点で、総員は3144人であり、他のチェチェン独立派の部隊との違いとして、この大隊では連邦派であることが求められていました。

歴史的背景

ザーパド大隊のルーツは、18世紀末から19世紀初めのナドテレチヌイ地区にまで遡ります。この地域では、反ボリシェヴィキとして活動していたデニ・アルサノフが生活し、彼はロシア人との共存を訴えていました。彼の死後、彼の息子バハウディンがその教団を引き継ぎ、1930年代から1940年代にかけての反ソ闘争へとつながっていきます。この歴史的文脈から、ナドテレチヌイ地区のチェチェン人は他地域のチェチェン人とは異なる対ロシア観を持っており、これが後のチェチェン戦争における彼らの行動に影響を与えました。

チェチェン戦争とザーパド大隊の設立

ザーパド大隊の前身は、1990年代初頭にサイード=マゴメド・カキエフによって設立された反ドゥダエフ派の武装部隊です。1993年から1994年にかけて、この部隊は親露派のナドテレチヌイ地区長ウマル・アウトゥルハノフの指揮下で、独立派と戦闘を繰り広げました。1994年11月には、グロズヌイでの襲撃が失敗しましたが、カキエフの部隊の活動はロシア連邦軍に注目され、結果としてGRUの支援を受けることができました。

第1次チェチェン戦争の際、ザーパドの前身部隊は連邦軍側で戦いましたが、1996年8月のグロズヌイ襲撃時には多くのメンバーを失いました。その後、96年のハサヴユルト合意を経て、連邦派とともにチェチェンを離れることになりました。1999年の第2次チェチェン戦争の開幕を受けて、カキエフと彼の部隊は帰国しました。さらに、1999年末には、親露派のチェチェン人部隊として第42自動車化狙撃師団内に特殊任務中隊が編成され、これが後にザーパド大隊に改編されました。

ザーパド大隊の活動とその解散

ザーパド大隊はグロズヌイに駐屯し、チェチェン西部地域で多様な活動を行いました。例えば、2004年3月には独立派の指揮官ルスラン・ゲラエフの殺害において、同大隊が重要な役割を担ったとされています。また、グルジア側の主張によれば、GRUの任務としてグルジア国内での諜報活動にも関与しているとされています。

しかし、ザーパド大隊は2008年に解散に至ります。このとき、カキエフはすでに大隊長を辞任しており、後任のスリム・ヤマダエフは2009年に彼自身が殺害されるという事件に見舞われました。このように、ザーパド大隊はその活動を通じて多くの歴史的背景と複雑な人間関係を有し、チェチェンでの軍事行動において重要な役割を果たしてきました。

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