シェロブ

シェロブ（Shelob）についての考察

シェロブは、著名な作家J・R・R・トールキンの作品『指輪物語』に登場する架空の生物で、その姿は恐ろしいメス蜘蛛です。名前は、英語の「she」と古英語の「lob」（蜘蛛）を組み合わせたものに由来しています。彼女は、中つ国の隠れた恐ろしさを象徴し、「黒い恐怖」とも称される存在です。

住処と起源

シェロブは、キリス・ウンゴルの暗いトンネルに棲んでおり、そこで多くの獲物を待ち伏せしています。その起源は、はるか昔の中つ国第一紀にまで遡り、不気味な存在である冥王モルゴスと関わりのあるマイアであるウンゴリアントと同じ系譜を引いているとされます。彼女はかつて海底のベレリアンドに住んでおり、恐怖の山々で大きな戦いを繰り広げたと言われています。このような歴史を持つシェロブは、彼女の兄弟姉妹の中では最も強力な存在として描かれています。

孤独な旅とモルドールの支配

シェロブは、ベレリアンドの滅亡を逃れた後、孤独な旅を続け、最終的にはモルドールに辿り着きました。モルドールが形成される前にその土地に足を踏み入れ、彼女はその地を生涯の居場所としました。彼女の子孫は、シェロブの影響を受けながら谷から谷へと旅をし、暗い運命に襲われました。『指輪物語』では、ビルボ・バギンズが闇の森で対峙した同じ種類の蜘蛛がシェロブによって引き起こされた恐怖の例とも言えます。

食欲と生態

彼女はその日々を獲物を捕らえてむさぼることに費やしており、果敢にトンネルに侵入した者たちを毒針でしとめて食べることを旨としています。その肉体は、長い年月を経て異常に硬く変化しており、通常の武器で彼女に致命傷を与えるのは容易ではありません。また、彼女が自ら紡ぐ糸は、非常に丈夫かつ柔軟で、切りつけても弾いてしまうほどの硬さを持っています。この糸は、トンネル内に巧妙な罠を張り巡らせており、多くの勇敢な者たちがこの罠に引っかかり、餌食となってしまったのです。

サウロンとの関係

モルドールを支配するサウロンにとって、シェロブは「飼い猫」としての存在であり、実際の主従関係こそないものの、彼女を生かし続け彼女の巣を利用していました。時折、サウロンはオークを彼女の食料として送り込み、その狡猾さを利用しようとしました。シェロブは、サウロンの意図をあまり意識せずとも、自らの食料を探し続けました。

物語における役割

物語が進む中で、指輪を奪回しようとするゴクリはシェロブとの密約に従い、フロドとサムを罠に落とし込みます。シェロブはフロドを毒針で刺し、彼を仮死状態に追い込みましたが、サムの反撃に遭い、逆に自身が致命傷を負うことになりました。サムの持つ光によって、シェロブは撃退され、彼女は巣に逃げ帰る羽目になります。

最後の運命

物語の終盤、シェロブは復讐を誓いながらも深い傷に苦しむ姿が描かれていますが、その後の運命は語られていません。果たして彼女はそのまま敗北し、命を落としたのか？それとも生き延びて恐怖を振りまき続けたのか、真相は不明です。シェロブはトールキンの『指輪物語』において、不気味な存在として記憶に残り続けています。

もう一度検索