シオフキガイ

シオフキガイについて

シオフキガイ（潮吹貝、学名：Mactra veneriformis）は、マルスダレガイ目に属する二枚貝で、特に海岸近くに生息しています。英語ではサーフクラムやヘンクラムと呼ばれ、その独特な形状と生態から広く認識されています。日本では宮城県南部から九州、さらには四国にかけて分布しており、潮間帯の下部や水深20メートル程度の砂泥底に生息しています。

形態

シオフキガイの特徴的な形状としては、殻の長さが約45ミリメートルほどで、薄い殻が前後に短く、三角形に近い外観を形成しています。殻の膨らみは強く、外側には低い同心円肋が見られるのが特徴です。殻の皮は黄褐色で、薄くて滑らかな質感を持ちます。また、内側は白色または淡褐色であり、後端には紫褐色が見られる場合もあります。殻の両側には長い歯があり、外套線の湾入は丸くて浅いという特徴もあります。

生態

シオフキガイは内湾性の生物で、塩分濃度が適度な場所に生息し、潮間帯の下部から水深20メートルまでの砂泥の底に見られます。産卵は4月から7月にかけて行われ、主に2年目の成貝が漁獲されます。このように比較的早い成長を示す生物ですが、成貝になるまでの過程には特定の生活環境が必要です。

人との関わり

シオフキガイは一般に食用として利用され、特に日本では潮干狩りの際にアサリやハマグリなどとともに捕獲されることが多いです。冬になると、その味わいが一層深まるとされていますが、砂を吐かせるためにポンプで送気する作業が必要なため、あまり好まれないこともあります。一部の文献では、味がそれほど良くないとされ、アサリの代用品として佃煮や干物に加工されることもあります。また、貝柱を使用した天ぷらも人気があります。

春にはこの貝をイメージさせる季語として使われることもあり、日本の食文化において重要な位置を占めています。

参考文献

• - 奥谷喬司 (編著)『日本近海産貝類図鑑』（第二版）東海大学出版部、2017年
• - 黒住耐二 (文)、大作晃一 (写真)『くらべてわかる 貝殻』山と渓谷社、2021年
• - 『改訂新版 世界文化生物大図鑑 貝類』世界文化社、2004年
• - 小倉久米雄et al. 編『語源・由来 日本料理大事典』 上巻、ニチブン、2000年
• - 『料理食材大事典』主婦の友社、1996年
• - 河野友美 編『魚Ⅱ』真珠書院〈新・食品事典4〉、1991年

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