シオミズツボワムシ

シオミズツボワムシ (Brachionus plicatilis species complex)

シオミズツボワムシは、輪形動物門に属するごく小型の動物であり、主に汽水に生息します。その特異な繁殖能力と食物としての利用価値から、多くの養殖業者に重視されています。特に、稚魚にとって理想的な生き餌となるため、効率的な養殖技術が開発されています。

概要

このワムシは、日本各地の汽水湖や養殖池において広く見られる種です。体は硬くならず、広い塩分耐性を持つため、さまざまな環境で生息することができます。近年、養殖業での需要の高まりから、シオミズツボワムシの人工繁殖技術も進展しています。特に日本では、餌として非常に効率的に大量に生産できる方法が確立されました。

特徴

シオミズツボワムシの雌個体のサイズは125-315μmで、腹甲と背甲の区別は明確ではありません。その体は壺のような形をしており、後方に特徴的な棘があります。一方、雄個体は雌よりも小さく、精巣が確認できる程度の特徴を持ちます。彼らは消化管を持たず、餌を食べることはありません。

生息環境と分布

シオミズツボワムシは、本来汽水湖に生息していますが、世界中に広く分布しており、特に南極以外の地域で確認されています。この分布の広さは、耐久卵を放出し、乾燥や低温にも耐える能力を持つためと考えられています。さらに、内陸の塩湖やアルカリ性の湖でも観察され、高い個体数を維持することができます。

繁殖様式

この種は、両性生殖と単性生殖の両方で繁殖します。雌が雄と交尾すると耐久卵を産むことが可能で、この耐久卵は悪環境から生き延びるために非常に重要です。環境条件が整った場合、短い期間で多くの卵を産むことができます。

多様性と分類

シオミズツボワムシは、様々な形態的なバリエーションを持つため、これまで単一種と考えられてきましたが、最近の研究により、複数の隠蔽種が存在することが明らかになりました。現在は14種以上の隠蔽種を含むと考えられており、その起源は数百万年前に遡るとされています。

餌料としての重要性

このワムシは、特に稚魚の生き餌として非常に重要な存在です。培養が容易で、栄養価も高く、仔魚の消化系にも適しています。現在では多くの養殖業者が、シオミズツボワムシを10億匹単位で供給する体制を整えており、そのコストと効率の良さから他の餌料に対しても優れた選択肢となっています。

養殖技術

シオミズツボワムシの養殖技術には主に植え継ぎ式と間引き式があり、それぞれ異なる利点があります。植え継ぎ式では、養殖水槽内で繁殖したワムシを一気に回収し、新たに海水や餌を追加する方法です。間引き式は、継続的にワムシを収穫しつつ、必要な給餌を行う方法です。これらの方法を駆使して、シオミズツボワムシは現在も養殖業界で重要な役割を果たしています。

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