シクステン・イェルンベリ

シクステン・イェルンベリ（Eddy Sixten Jernberg、1929年2月6日 - 2012年7月14日）は、スウェーデン、ダーラナ県マールン出身のクロスカントリースキー選手です。1950年代から1960年代にかけて国際大会で目覚ましい活躍を見せ、冬季オリンピックで4つの金メダルを含む9個のメダルを獲得しました。また、棒高跳びでオリンピックに2度出場したインゲマル・イェルンベリは彼の甥にあたります。

驚異的なタフネス

イェルンベリは、その並外れたタフネスで知られていました。スウェーデン代表チームの合宿でさえ、彼にとっては休暇のようなものだったと言われています。彼は自身に非常に厳しいトレーニングを課し、例えば、合宿所から100kmも離れた場所に車を停め、そこからスキーで往復するといった常人には考えられないような練習を行っていました。また、一日たりともトレーニングを休むことを良しとしませんでした。

ある大会では、高熱を発し、吐血しながらも50kmのレースを完走するという、信じられないようなエピソードも残っています。彼のレースでのモットーは「全力でスタートし、全力で加速する」でした。この常識を超えたトレーニングこそが、後のスウェーデンチームの選手たちの基準を決定づけたと言えるでしょう。オリンピックメダリストであるグンデ・スヴァンも、自身のトレーニングにイェルンベリの方法を取り入れたと語っています。「イェルンベリは自分の肉体に不満を持って、自ら苛め抜いていたようだ」と述べています。

主な戦績

1954年ノルディックスキー世界選手権 (自国開催):
15km: 7位
30km: 4位
リレー: 銅メダル
ホルメンコーレンスキー大会15km: 優勝
1956年コルチナ・ダンペッツオオリンピック:
50km: 金メダル
15km: 銀メダル
30km: 銀メダル
リレー: 銅メダル
同年Svenska Dagbladet Gold Medalを受賞
1958年ノルディックスキー世界選手権:
50km: 金メダル
リレー: 金メダル
30km: 銅メダル
15km: 4位
1960年スコーバレーオリンピック:
30km: 金メダル
15km: 銀メダル
リレー: 4位
50km: 5位
同年、ホルメンコーレン・メダルを受章
1962年ノルディックスキー世界選手権:
50km: 金メダル
リレー: 金メダル
30km: 10位
1964年インスブルックオリンピック:
50km: 金メダル
リレー: 金メダル
15km: 銅メダル
30km: 5位
ヴァーサロペット:
1955年、1960年: 優勝
1965年: IOCからノルディックスキーへの貢献に対し"Mohammed Taher Trophy"が授与

功績を称えて

1964年には、彼の名を冠したシクステン・イェルンベリ賞(Sixten Jernbergpriset)が創設されました。この賞は、スウェーデンスキー連盟、スウェーデン選手権主催者、記者によって、そのシーズン最も優秀なクロスカントリースキー選手に毎年贈られています。

2012年7月14日、病気のためダーラナ県の病院で死去。83歳でした。

イェルンベリは、その強靭な精神力と肉体、そして数々の輝かしい功績によって、クロスカントリースキー界の伝説として語り継がれています。

もう一度検索