シクストゥス・フォン・ブルボン＝パルマ

シクストゥス・フォン・ブルボン＝パルマ：和平交渉の中心人物

シクストゥス・フォン・ブルボン＝パルマ（1886年8月1日 - 1934年3月14日）は、最後のパルマ公ロベルト1世とマリーア・アントーニアの長男として生まれました。彼は、第一次世界大戦中に発生したシクストゥス事件において、オーストリアと連合国間の和平交渉を仲介したことで知られています。また、彼は多くの著作を残しており、その生涯は波乱に満ちたものでした。

生い立ちと家族

シクストゥスは、パルマ公ロベルト1世の14番目の子供として生まれました。父ロベルト1世は、イタリア統一戦争で公国を追放されたものの、莫大な財産を相続し、裕福な生活を送っていました。シクストゥスは、イエズス会が運営する寄宿学校で教育を受け、その後パリで法律を学びました。1910年には、父の遺産分割において、異母兄弟たちと合意に達しました。妹のツィタは、オーストリア＝ハンガリー帝国の帝位継承者であるカール大公と結婚しています。

第一次世界大戦とシクストゥス事件

第一次世界大戦が勃発すると、シクストゥスの一家は分裂しました。シクストゥスと弟のグザヴィエはベルギー軍に入隊し、一方、他の兄弟たちは敵であるオーストリア軍に加わりました。1917年、シクストゥスは義弟であるオーストリア皇帝カール1世からの依頼で、フランスとの和平交渉の仲介役を務めることになります。カール1世は、シクストゥスを通じて、アルザス＝ロレーヌのフランスへの返還、ベルギー復興、セルビアの独立などの条件について協議しました。しかし、イタリアがチロルの割譲を要求したことや、ドイツがアルザス＝ロレーヌの交渉を拒否したことなどから、交渉は決裂しました。1918年4月、この和平交渉の内容が公になり、シクストゥス事件として知られるようになりました。カール1世は一時関与を否定しましたが、フランス首相が書簡を公開したことで、その関与が明らかになりました。

その後の人生と遺産

1919年、シクストゥスはヘドウィゲ・ド・ラ・ロシュフーコーと結婚しました。この結婚は、異母兄であるエリアの承認を得られず、長らく正式なものとして認められませんでした。夫妻には娘が一人いました。第一次世界大戦後、フランス政府は、敵軍側についた者の財産を没収する権利を得ました。シクストゥスの異母兄エリアがオーストリア軍に所属していたため、ブルボン＝パルマ家が所有していたシャンボール城が没収されました。シクストゥスとグザヴィエは、兄エリアを相手に裁判を起こしましたが、最終的には敗訴しました。シクストゥスは、フランス貴族と結婚し、フランスに居を構えた後、アフリカ探検や著述活動を行いました。彼は1934年にパリで亡くなりました。

著書とフィクション

シクストゥスは、多くの著書や論文を執筆しました。彼の著書には、探検記や歴史書、伝記などがあります。また、彼の生涯は、テレビシリーズや歴史小説の題材にもなっています。

シクストゥス・フォン・ブルボン＝パルマは、皇室の一員でありながら、第一次世界大戦という激動の時代に翻弄され、和平交渉という重要な役割を担った人物でした。彼の生涯は、家族の分裂、政治的な陰謀、そして個人的な苦悩に満ちていました。

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