シシオザル

シシオザル (Macaca silenus)

シシオザルは、オナガザル科マカク属に分類される霊長類で、インドの西ガーツ山脈にのみ生息する固有種です。その特徴的な外見から、和名では「獅子尾猿」、英名では「Lion-tailed macaque」と呼ばれています。

形態

シシオザルの体は全身が黒い体毛で覆われています。特に目を引くのは、顔の周囲に鬣（たてがみ）のように長く伸びた灰色の体毛です。また、尾の先端には房状の毛が生えており、これがライオンの尾を連想させることから、和名や英名の由来となっています。

体長はオスが51-66cm、メスが46cm程度で、オスの方がやや大きいです。尾の長さはオスが25.4-38.6cm、メスが25.4-32cm。体重はオスが5-10kg、メスが3-6kgと、こちらもオスの方が重いです。

生態

シシオザルは、標高300-1300mの広葉樹林に生息しており、10頭から40頭程度の複数の雌雄からなる群れを形成して生活します。群れの中では社会的な階層が存在すると考えられています。

食性は雑食で、果実、種子、昆虫類など、様々なものを食べます。森林の中を移動しながら、食べ物を探して生活しています。

繁殖形態は胎生で、特定の繁殖期はありませんが、主に1月から2月にかけて交尾を行います。一度に1頭の幼獣を産み、授乳期間は12ヶ月から18ヶ月と比較的長いです。

シシオザルの天敵としては、ベンガルトラ、インドヒョウ、ドール、インドニシキヘビなどが挙げられます。これらの捕食者から身を守るために、群れで協力して警戒したり、高い木の上で休息したりします。

人間との関係

シシオザルは、開発による生息地の破壊や、森林伐採による食料の減少などにより、生息数が激減しています。そのため、IUCN（国際自然保護連合）のレッドリストでは絶滅危惧種に指定されており、保護の必要性が叫ばれています。

関連項目

マカク属

参考文献

『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、31、203頁。
小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』、講談社、2000年、58-59、137-138頁。
『小学館の図鑑NEO 動物』、小学館、2002年、142頁。

外部リンク

CITES homepage
Appendices I, II and III
2007 IUCN Red List of Threatened Species
Participants of CBSG CAMP Workshop: Status of South Asian Primates 2004. Macaca silenus. In: IUCN 2007. 2007 IUCN Red List of Threatened Species.
* 環境省 特定（危険）動物の飼養又は保管の許可について

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