シジマール・アントニオ・マルチンス

シジマール・アントニオ・マルチンス：ブラジルから日本へ、そして指導者として

シジマール・アントニオ・マルチンス氏は、1962年6月13日、ブラジルで生まれた元サッカー選手、そして現在はサッカー指導者として活躍する人物です。少年時代からゴールキーパーとして才能を開花させ、ブラジルの名門クラブでキャリアをスタートさせました。

選手時代：ブラジルでの活躍からJリーグへ

サンパウロFCの下部組織を経て、グアラニFCでプロとしてのキャリアをスタートさせます。若くしてブラジル代表U-20にも選出され、南米ユース選手権準優勝、トゥーロン国際大会優勝など輝かしい実績を残しました。その後、キンゼ・デ・ピラシカーバ、ECバイーア、ポルトゥゲーザと複数のクラブを渡り歩き、1988年にはECバイーアでブラジル全国選手権優勝を経験するなど、ブラジルサッカー界で活躍しました。

1993年、ポルトゥゲーザ時代の監督であるエメルソン・レオン氏からの誘いで来日。当初はGKコーチとして招聘されましたが、自身の卓越した実力から現役復帰を果たし、清水エスパルスに加入します。加入後、すぐにレギュラーポジションを獲得。驚異的な活躍を見せ、2ndステージでは6試合連続無失点という記録を樹立しました。チームは1stステージの低調な成績を大きく改善し、ステージ優勝を争うまで躍進。その活躍は高く評価され、サッカーマガジン誌の採点で最高点を獲得しました。731分間の連続無失点記録はJリーグの歴史に名を刻み、長らくJ1の記録として残りました（2021年に更新）。

1994年にはチームが優勝争いを演じるも、監督交代や外国人枠の関係で出場機会が減少。1994年10月に退団を発表した際には、サポーターからの復帰を求める署名運動が起こるほどの影響力を持っていました。1995年にはGKコーチ兼任で清水エスパルスに復帰しますが、浦和レッドダイヤモンズ戦での出来事がきっかけで、物議を醸すことになります。試合中の行動が浦和サポーターの怒りを買い、スタジアムが混乱したため、事態の収拾に追われたのです。

日本でのプレー生活では、リーグ戦61試合、カップ戦7試合、天皇杯4試合に出場しました。

指導者としてのキャリア：後進育成に尽力

現役引退後の2003年には国際開洋第一高等学校サッカー部コーチに就任。その後は、プーマサッカークリニックの講師やVOLARE FC監督、大阪学院大学サッカー部特別コーチなどを歴任しました。2009年から柏レイソルのGKコーチに就任し、数々の名GKを育成。2011年にはリーグ優勝に貢献しました。ヴィッセル神戸のGKコーチを経て、浜松開誠館高等学校、タイ・ポートFCでGKコーチを務めた後、2017年には藤枝MYFCにGKコーチとして加入。なんと、開幕前にGKの負傷により22年ぶりに現役復帰する事態も発生しました。2018年には藤枝MYFCのヘッドコーチに就任し、その後再びGKコーチとして活躍、2022年に退団しました。2023年には8年ぶりにヴィッセル神戸のGKコーチに復帰しています。

人物像：高い人気と才能

シジマール氏は身長183cmながら、両腕を広げると193cmにも及ぶ体格の持ち主です。そのユニークな体格と、流暢な日本語、そして親しみやすい人柄で、多くのファンから愛されています。テレビ番組『やべっちFC』への出演など、メディアにも積極的に露出。宮本恒靖氏や中村俊輔氏との共演で、その高い知名度を確立しました。また、彼の名前の由来は、兄と、当時のブラジル代表GKジウマール氏に由来すると言われています。

キンゼ・デ・ピラシカーバの歴代ベストイレブン、Jリーグ20周年記念のJクロニクルベストGK部門3位、Number誌による最強外国人GK部門1位など、数々の栄誉に輝いています。2006年には日系ブラジル人の妻と結婚。妻は浜松を中心にポルトガル語教師として活躍しています。

シジマール・アントニオ・マルチンス氏は、選手として、そして指導者として、ブラジルと日本のサッカー界に大きな足跡を残した、まさにレジェンドと言える存在です。彼の功績と人柄は、これからも多くの人々に語り継がれていくでしょう。

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