シジル (オカルト)

シジルとは何か

シジル（英: sigil, 羅: sigillum）は、主に西洋魔術で使用される図形、記号、紋章、線形のことです。「小さな像」や「印章」を意味するラテン語の「sigillum」が語源で、印や印形とも訳されます。

歴史的なシジル

中世・近世の儀式魔術では、多くの天使や精霊のシジルが見られます。これらは、七惑星、黄道十二宮などに対応する天使、知霊、精霊といったダイモーンの象徴であり、単純な記号から複合的な図像まで様々です。複合的な図像は印章や紋章とも呼ばれ、シジルと区別されることもあります（ただし、sigilもsealも同じsigillumの英訳です）。

『ゴエティア』には、72の悪霊のリストと、各霊に対応する印章が記載されています。悪霊の印章は霊の真の名であり、魔術師に霊に対する支配力をもたらすと信じられていました。マグレガー・マサースが編纂した『ソロモンの大いなる鍵』には七惑星の護符（ペンタクル）が、同じくマサースが英訳した『アルマデル奥義書』には天使の護符（Character）が記載されていますが、これらもシジルの一種です。

ユダヤの魔術的カバラの伝統では、ヘブライ語でセグラ（複数形セグロト）と呼ばれる護符が知られています。これも一種のシジルであり、中世ユダヤのグリモワール『天使ラジエルの書』には様々なセグロトが記載されています。

黄金の夜明け団の魔術体系では、天使や霊の名から抽出した線形をシジルと呼びます。この線形は、天使名の各文字を数字に変換し、惑星の魔法陣上に線を引くことで得られます。また、22文字のヘブライ語アルファベットに対応する花弁を持つ薔薇の上に線を引く方法もあります。これらのシジルは、主にタリスマンや魔術武器のデザインに使用されます。

現代のシジル魔術

シジル魔術は、イギリスの芸術家であり魔術師としても知られるオースティン・オスマン・スパーが開発したとされる魔術技法です。ケイオスマジックの創始者であるレイ・シャーウィンとピーター・J・キャロルによって広められ、現在ではケイオスマジックの内外で願望達成術として普及しています。

スパーの『快楽の書』に基づいたシジル魔術では、まず願望を文章化し、重複する文字を削除します。残った文字を組み合わせて図案化し、シジルを作成します。このシジルは、複数の文字を組み合わせて作られたモノグラムの一種と見なすことができます。他にも様々なsigilizationの技法が存在します。

作成されたシジルのイメージは、ノーシスと呼ばれる変性意識状態において深層意識に埋め込まれます（このプロセスを「内化」と呼びます）。その後、速やかに表層意識から消去され、忘却されます。

シジルは、思念体やservitorと呼ばれる人工精霊の創造にも用いられます。

シジルは、その手軽さと自由度の高さから、現代魔術において非常に人気のある技法の一つです。願望を叶えるための強力なツールとして、様々な形で活用されています。

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