システム7 (バンド)

システム7：テクノシーンの多面体を映し出す先駆者

システム7は、イギリスを拠点とするエレクトロニックミュージックユニットである。テクノ、トランス、アンビエントといったジャンルを自在に横断し、実験的で独創的なサウンドを聴かせることで知られる。その音楽性は時代とともに進化を遂げ、常にリスナーを魅了し続けている。

ゴングからの系譜と新たな出発

システム7は、プログレッシブロックバンド「ゴング」のメンバーであったスティーヴ・ヒレッジとミケット・ジローディによって結成された。ヒレッジは、ロンドンのクラブシーンで活躍するDJ、アレックス・パターソンと出会い、彼の勧めによってシステム7を始動させる。ユニット名の由来は、ヒレッジのソロアルバム『モチヴェイション・ラジオ』の型番に遡るといわれている。

多彩なコラボレーションと進化するサウンド

システム7の特徴として、数々のアーティストとの積極的なコラボレーションが挙げられる。中でも、デトロイトテクノの重鎮、デリック・メイとの関係は特筆に値する。1990年代以降、ソロ活動を休止していたデリック・メイを再び作曲活動へと導いたのも、システム7との共同作業だった。両者による共作は『ミステリアス・トラベラー』としてまとめられ、高い評価を得ている。

他にも、カール・クレイグやローラン・ガルニエといったテクノシーンのキーパーソンたちとのコラボレーション作品は、システム7の音楽的多様性を鮮やかに示している。アレックス・パターソンは結成以来、システム7の中核メンバーとして活動を支えている。さらに、ゴングの創設メンバーであるデヴィッド・アレンも一部作品に参加しているなど、ゴングからの血脈も感じさせる。

初期の作品は、同時代のシェイメンを思わせる、多くのアーティストとの共作によって生み出された、有機的なサウンドが特徴的だった。しかし、1994年の『Point 3』で発表された「Fire」と「Water」は、テクノの躍動感を前面に押し出した作品と、静謐なアンビエント作品という対照的な2枚のアルバムとなり、当時隆盛を極めていたテクノシーンに積極的に接近した。1995年の『パワー・オブ・セブン』では、ノイ!や他のアーティストの作品を大胆にサンプリングし、その独自性をさらに強調した。この作品はベルギーの名門レーベルR&Sからもリリースされ、国際的な成功を収めた。

続く1997年の『ゴールデン・セクション』ではドラムンベースに挑戦。また、ヒレッジ自身の過去の作品からのサンプリングも取り入れ、システム7の音楽的ルーツを再確認するような作品となった。

独自のレーベルと新たな表現

2000年には自身のレーベルA-Waveを設立。以降の作品は、このレーベルから発表されている。2001年の『セブンス・ウェイブ』は、それまでの活動を総括するような、激しくも美しいトランス・テクノ的作品。2004年の『エンカンタドー』ではサイケデリックな要素が強まり、現在のシステム7の音楽性を決定づける作品となった。

アンビエントやチルアウトといった、システム7の音楽性とは異なるサウンドは、2005年に始動した別プロジェクト、ミラー・システム名義で発表された。また、Groovy Intent名義での作品も存在する。

2007年には手塚治虫の漫画『火の鳥』に触発されたアルバム『フェニックス』を発表。その先行シングル「Hinotori」は、オリジナルの約10分をさらに拡大した20分バージョンが収録され、壮大なスケール感を提示している。

システム7は、テクノという枠にとどまらず、様々な音楽ジャンルを融合し、常に進化を続ける、唯一無二のユニットと言えるだろう。その多彩なサウンドは、長年にわたって世界中のリスナーを魅了し続けている。彼らの音楽は、テクノシーンの歴史、そして音楽の未来を示唆する、重要な存在である。

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