シチュエーション・コメディ

シチュエーション・コメディ（シットコム）とは

シチュエーション・コメディ、略してシットコムは、主に特定の状況や日常場面で繰り広げられるユーモラスな物語を扱うコメディの一形態です。このジャンルは、スラップスティック・コメディとは異なり、激しい動きや体を張った演技の代わりに、脚本や演出の質、および状況から生まれるユーモアに依存しています。シットコムは、主にテレビドラマやラジオドラマに用いられ、観客の笑いを引き出すために、登場人物たちの稚拙な発言や予測不能な行動が展開されます。

シットコムの特徴

シットコムの物語は以下の特徴に基づいています：

1. 主要舞台が固定：大体は特定の場所（家、職場、バーなど）が舞台になり、物語はその場で展開されます。
2. 定常的な登場人物：主要なキャラクターはほぼ一定ですが、時折ゲストキャラクターが登場することもあります。
3. 単話完結型：各エピソードは、基本的にはその回で完結したストーリーになっており、続きが気になるようなクリフハンガーが少ないのが特徴です。
4. 観客の笑い声の取り入れ：多くのシットコムは、スタジオ観客の反応を収録する手法が取り入れられています。これにより、視聴者も一体となったような感覚を楽しんでいます。たいてい、廊下を挟んだ二つの部屋を舞台にし、一つの部屋は観客が観やすいように配置されています。

シットコムの歴史

シットコムという呼称自体は1950年代まで存在しませんでしたが、イギリスにおいては、シットコムに近い形式は古くからラジオドラマとして人気がありました。初のテレビシットコムとして挙げられるのは、BBCが制作した『ピンライツプログレス』（1946年 - 1947年）です。この作品以降、アメリカではウィリアム・アッシャー監督による『アイ・ラブ・ルーシー』（1951年 - 1957年）がシットコムの代名詞となり、以降のスタイルを築きました。

2000年代からは『The Office』などのモキュメンタリー形式の作品も登場し、従来のシットコムとは異なるスタイルが視聴者に新たな体験を提供しています。

各国のシットコム

• - イギリス：イギリスのシットコムは通常30分構成で、脚本は1人または2人の作家によって手掛けられることが多いです。意図的にユニークなトピックを取り入れる作品も少なくありません。
• - アメリカ：アメリカではシットコムが大人気のジャンルとなり、特に59年代から70年代にかけて多くの国民的シットコムが誕生しました。視聴者による支持を考慮して新作が制作されるため、人気作品には「シーズン」の概念も定着しています。
• - カナダ、中華人民共和国、大韓民国、日本：それぞれの国でもシットコムが存在しますが、その数や人気の程度には違いがあります。特に日本では「シットコム」という言葉があまり浸透しないため、他のジャンルに位置付けられることが多いです。このように、シットコムは文化や国によって形を変えながら愛され続けています。

まとめ

シチュエーション・コメディ（シットコム）は、その特有のスタイルや構成を通して、さまざまな国や文化の中で多くの人々に楽しまれています。視聴者は日常生活の中に隠された笑いを発見し、シットコムはその過程を通じて彼らの心に寄り添っているのです。

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