シックズ・スタジアム

シックズ・スタジアムは、かつてアメリカ合衆国ワシントン州シアトルに存在した野球場です。MLBのシアトル・パイロッツ（現ミルウォーキー・ブルワーズ）が、球団創設初年度の1969年に本拠地として使用したことで知られています。また、マイナーリーグベースボールやニグロリーグに所属する複数の球団も、この球場を本拠地としていました。

球場の歴史

この場所には、1913年に建設されたダッグデール・スタジアムという野球場がありました。そこは、マイナーリーグ・パシフィックコーストリーグのシアトル・インディアンス（のちのシアトル・レイニアーズ）が本拠地として使用していましたが、1932年7月4日に放火によって全焼してしまいました。そのため、同じ場所に新しい野球場を建設することになったのです。

1938年6月15日に開場した新球場は、レイニアーズのオーナーであったエミル・シックの名前から「シックズ・スタジアム」と名付けられました。レイニアーズは1964年シーズン終了後に球団名をシアトル・エンゼルスに変更しましたが、1968年までこの球場でプレイを続けました。ニグロ・リーグのウエスト・コースト・ベースボール・アソシエーションに所属していたシアトル・スティールヘッズも、1946年にこの球場を本拠地としていました。また、野球以外にも、1957年9月1日にはエルヴィス・プレスリーがコンサートを開催しています。

シアトルは、過去に何度かメジャーリーグ球団の移転先候補として名前が挙がっていましたが、いずれも実現には至りませんでした。1965年のクリーブランド・インディアンス、1967年のカンザスシティ・アスレチックスが共にシアトルへの移転を検討しましたが、最終的に移転を断念した理由の一つとして、シックズ・スタジアムの設備が脆弱であったことが挙げられています。

1969年に新球団パイロッツがシアトルに創設された際、「シーズン開始までに収容人数を30,000人以上にするために座席を増設する」という球団誘致の条件がありました。しかし、悪天候や費用増大などが原因で工事が遅れ、この条件は実現されませんでした。さらに、座席の増設は、既存の多くの座席からの視界を遮ってしまうという問題も引き起こしました。

パイロッツは観客動員に苦戦し、創設初年度にもかかわらず、観客動員数は約678,000人（1試合平均約8,730人）にとどまりました。結局、パイロッツは1年限りでシアトルからウィスコンシン州ミルウォーキーへと移転してしまいます。

1972年から5年間は、マイナーリーグA級のシアトル・レイニアーズが本拠地として使用しました。1977年には、シアトルが再びメジャーリーグの拡張球団（マリナーズ）の本拠地として選ばれましたが、本拠地球場としてシックズ・スタジアムが選ばれることはありませんでした。シックズ・スタジアムは1979年2月に解体され、その歴史に幕を閉じました。

もう一度検索