シティ・ステータス (イギリス)

イギリスのシティ・ステータスについて

イギリスにおけるシティ・ステータスとは、特定の自治体に対して国王が授ける地位のことを指します。この地位は特別な権利を伴わないものの、その背後には歴史的な風格が宿っており、自治体にとっての名誉とも言えます。2022年現在、イギリス本土には76のシティが存在し、イングランドが55、ウェールズが7、スコットランドが8、北アイルランドが6です。また、王室属領および海外領土にも5つのシティがあります。

シティ・ステータスの起源

シティ・ステータスの歴史を遡ると、イングランドとウェールズにおいて、主に主教座聖堂の存在がこの地位を得る条件として機能していました。ヘンリー8世時代に、国教会の教区が設立されたことが起源であり、この時にいくつかの都市にシティ・ステータスが与えられました。具体的には、1540年代にヘンリー8世が制定した6つの教区に主教座が設けられ、それに付随してシティ・ステータスが付与されたのです。

現代のシティ・ステータス

20世紀に入ると、シティ・ステータスの付与は単なる主教座聖堂の存在から、人口規模などの多様な基準が考慮されるようになり、これにより新たな都市にも市の称号を与える機会が生まれました。例えば、バーミンガムやマンチェスターは、自治体としての独自性や発展を背景にシティ・ステータスを獲得しました。このように、シティ・ステータスは競争が激化している中で、地位の獲得が難しくなっているのです。

シティ・ステータスの紛争

地方自治制度改革の影響もあり、歴史的なシティの地位を失った都市も見受けられます。2020年2月時点において、ロチェスターとエルギンの2つの街がシティから降格されたままであることが、その厳しさを物語っています。また、「シティ」という語は、特定の地位を示すものではなく、歴史的な意味合いや商業的な理由で使われることもあります。

シティ・ステータスと市長職

一部のシティには、ロード・メイヤーという特権的な役職が設けられています。これはシティ・オブ・ロンドンやヨーク、カーディフなどが当てはまり、その存在は市にさらなる権威を与えます。これに対し、特別な都市でない場合には一般の市長職が設けられることが一般的です。

歴史的背景と自治体の再形成

イギリスのシティ・ステータスは長い歴史の中で変遷しており、それに伴い自治体の構造も再編されました。1974年に地方自治法により多くの地方自治体が再編成され、シティ・オブ・ロンドン、シティ・オブ・ウェストミンスターを除く多くのシティが一時的に消滅する事件もありました。しかし、その後特許状に基づくシティ・ステータスの継続がなされ、地域の歴史やアイデンティティを守る手立てが取られています。

現在のシティ・ステータスの状況

現在では、シティ・ステータスを新たに取得することは特別な機会を除き稀であり、コンペ形式により行われることがあります。観光地としての魅力や文化的な価値も考慮され、その結果として数多くの都市がシティ・ステータスを争っています。

まとめ

シティ・ステータスはイギリスの自治体にとっての重要な名誉であり、その背後には深い歴史と文化があり、今後も加わる都市の選定が注目されます。イギリスにおける都市の地位やシティ・ステータスの持つ意味は、地域の認識を強化し、自治体のアイデンティティを支える大切な要素と言えるでしょう。

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