シトロエン・メアリ

シトロエン・メアリ

シトロエン・メアリ（Méhari）は、フランスの自動車メーカーシトロエンが1968年から1988年まで製造・販売していたユニークな自動車で、多くの人々に親しまれました。この車は、世界初のABS樹脂製ボディパネルを採用した大量生産車としても知られています。

概要

メアリは、シトロエンの象徴的なモデルである2CVの精神を受け継ぎつつ、シティユースに特化したディアーヌモデルの不足を補完する形で開発されました。メアリのボディはABS樹脂で作られており、軽量で丈夫なため、様々なシーンで活躍しました。特に、室内が汚れた場合でも水洗いできる手軽さや、表面の小傷をサンドペーパーで簡単に修復できる特徴が、レジャーや仕事での使用に大きな利点を持っていました。1969年当時の価格は7,800フランと、同時期の他モデルに比べて高い設定でしたが、その魅力から多くの支持を得ました。

ボディ構造

メアリは、ディアーヌ6のプラットフォームに鋼管フレームを組み合わせ、ABS樹脂製のボディパネルをボルト留めする構造を採用しています。このデザインにより、事故などでボディに損傷が生じても、特定のパネルを外して交換することで簡単に修理できます。ただし鋼管フレームに損傷があった場合は、修正が必要になります。

ボディカラーとモデル

メアリは多様なボディカラーが用意されており、特にカラハリオークルやホピレッド、モンタナグリーンといった、独特の色合いが特徴的です。車両は主に2座席の作業用モデルと、2+2のフルシートタイプに分かれており、ユーザーのニーズに応じた選択が可能でした。どちらの型式も、可倒式のフロントウインドシールドやチェーン式のドアなど、シンプルな設計が魅力です。

エンジン性能

エンジンに関しては、602ccの空冷水平対向2気筒であり、最大出力は28HP。軽量な車体（525kg）により、最高速度は約100km/hを実現しています。また最大積載量は400kgと、実用性にも優れています。さらに、1979年には4WDモデルのメアリ4x4も登場し、オフロード走行の需要にも応えました。

モデルの変遷

メアリは1970年代を通じていくつかの改良が施され、特に1973年には軍用試験に合格したMilitary-Mehariが話題に。1982年には一時輸入も行われましたが、限定的な流通にとどまりました。この車の魅力は、時間が経つにつれてさらに増していると言えるでしょう。

再生産の可能性

現在、フランスのメアリクラブでは、古いメアリの車体ナンバーを元に、新たなメアリを再生産することが可能です。そのため、中古の車両部品を探す手間も少なく、ファンたちが支える文化が続いています。

結論

シトロエン・メアリは単なる自動車の枠を超え、さまざまなライフスタイルにフィットする存在として、愛されてきました。その独特のデザインと、実用性、さらには耐久性は、今なお多くの支持を得ているのです。

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