シトロンボウル

シトロンボウルは、かつて日本学生アメリカンフットボール協会が主催し、北海道学生連盟と東北学生連盟が主管して例年12月に開催されていた、大学アメリカンフットボールのボウルゲームです。正式には「アメリカンフットボール東日本大学王座決定戦シトロンボウル」と呼ばれ、北海道・東北地区の代表校が、関東学生連盟の代表校を迎えて対戦する形式が取られていました。

この大会は、特に2007年度および2008年度には、その位置づけが大きく高まりました。これらの年度においてシトロンボウルの勝利校は、アメリカンフットボール日本選手権である「ライスボウル」の学生代表候補として選考対象とされ、東西大学王座決定戦である「甲子園ボウル」と並ぶ、重要なボウルゲームの一つと見なされるようになりました。しかし、2009年度から全国8連盟による全日本大学アメリカンフットボール選手権大会が新たに開始されたことに伴い、シトロンボウルはその役目を終え、現在は休止されています。

歴史

シトロンボウルは1997年に初めて開催されました。記念すべき第1回大会は、宮城県仙台市の仙台スタジアムで行われています。

名称の由来

「シトロンボウル」という名称は、例年12月の冬至に近い時期に試合が行われることから、歳時記に登場する冬の代表的な果実である「ゆず」の英語同義語「citron」に由来しています。冬至にゆずを用いる習慣には、太陽の力が再び強まることを願う「一陽来復（いちようらいふく）」や、子孫に繁栄が譲り伝えられることへの願いが込められています。こうした農産物にボウルゲームの名称の由来を求めるのは、アメリカ本国のボウルゲームの命名にも見られる特徴です。シトロンボウルという名前には、これまで全国的な注目を浴びる機会が少なかった北海道・東北地区の学生アメリカンフットボールに光を当て、その歴史や精神が末永く後輩たちへと受け継がれていくことへの願いが込められています。この名称は、東北学生連盟からの提案を受け、北海道学生連盟の了承を得て、日本学生協会が主催するゲームの正式な副題として採用されました。

出場校の決定方法

大会に出場するチームは、各地区の予選を勝ち抜いた学校です。

北海道学生連盟・東北学生連盟代表: 両連盟の代表校は、両地区の優勝チーム同士が対戦する「パインボウル」の勝者が出場します。
関東学生連盟代表: 関東代表の選出方法は、開催年度によって変遷がありました。初期（1997年度〜2001年度）はクラッシュボウル（関東大学選手権）の準優勝校が出場していましたが、その後（2002年度〜2005年度）はクラッシュボウルの準決勝で敗退したチームのいずれかから選ばれる形式となりました。さらに、2006年度にクラッシュボウルが決勝1試合形式に変更された後は、関東学生リーグ1部の各ブロックで2位となったチームのいずれかが出場しました。

主管連盟と試合会場

シトロンボウルの主管と開催地は、大会の歴史の中で変化しています。発足当初は東北学生連盟が主管を務め、会場も仙台スタジアムで固定されていました。その後、北海道学生連盟と東北学生連盟が毎年交代で主管する体制に移行しました。これにより、試合会場も北海道と東北で一年おきに使用されることになりました。具体的には、奇数年度は北海道学生連盟が主管し、札幌ドームが会場となるのが通例です。一方、偶数年度は東北学生連盟が主管し、仙台スタジアム（現在のユアテックスタジアム仙台）が会場として使用されています。

試合方式

試合は、通常のアメリカンフットボールのルールに則り、1クォーター15分の4クォーター制で行われます。試合終了時に得点の多いチームが優勝となります。同点の場合は、両校優勝として扱われました。

シトロンボウルは、2006年度までは大会の上位に位置する試合がなかったため、代表決定のための特別な手続きは定められていませんでした。しかし、2007年度から前述の通りライスボウルの学生代表選考対象となったため、「ライスボウル出場チーム選考委員会」による推薦を受けるチームを選ぶための手続きが変更されました。

過去の戦績

シトロンボウルは、休止されるまでの全期間で、関東代表が10戦全勝という記録を残しています。大会創設当初は、ウエスタンボウル（関西・中四国・九州代表対関東代表）と同様に、関東代表が大きな得点差をつけて勝利する試合が続いていました。しかし、大会を重ねるごとに、北海道・東北代表チームのレベル向上に伴い、徐々に点差が縮まり、僅差での決着となる試合が増えていきました。例えば、2005年度は仙台スタジアムで開催され、明治大学が東北大学に27対19で勝利しました。第10回大会にあたる2006年度は札幌ドームで行われ、北海道大学が健闘を見せましたが、明治大学が18対15という接戦を制して勝利し、大会2連覇を達成しました。続く2007年度の第11回大会はユアテックスタジアム仙台で開催され、ここでも明治大学が北海道大学を破り、大会3連覇を飾っています。

過去の出場校を見ると、北海道代表としては北海道大学のみ、東北代表としては東北大学のみが出場しています。一方、関東代表は多くの大学が出場しており、第1回大会の東海大学をはじめ、日本大学、日本体育大学、明治大学、早稲田大学、専修大学などが名を連ねています。

シトロンボウル