シネマ・チュプキ・タバタ

シネマ・チュプキ・タバタの概要

シネマ・チュプキ・タバタは、東京都北区に位置するミニシアターで、その名称はアイヌ語で「自然の光」を意味します。2016年9月に開館したこの映画館は、日本初のバリアフリー対応の常設映画館として注目されています。シティ・ライツという団体が運営しており、映画を通じて多様な人々に楽しんでもらうことを目指しています。また、北区内で唯一の常設映画館でもあります。

歴史

シネマ・チュプキ・タバタには、その前身となる「アートスペース・チュプキ」があります。この施設は、早稲田松竹に勤務していた平塚千穂子が、退職後に設立した「シティ・ライツ」によって運営されていました。シティ・ライツは、バリアフリー映画鑑賞を推進する組織で、音声ガイドの制作や映画祭の開催を行っていました。

2014年に開設されたアートスペース・チュプキは、北区内に久々に設けられた上映スペースで、映画鑑賞後にハーブティーを楽しみながら感想を語り合うことができる形式を取っていました。しかし、開館後間もなく興行場法の適用外であることが明らかになり、月に4回の上映会に制限されてしまいました。2016年2月には閉館。その後、シティ・ライツは新たにシネマ・チュプキ・タバタの設立を計画し、クラウドファンディングを通じて資金を集め、田端駅から徒歩5分の場所に新たな映画館を開設しました。

シネマ・チュプキ・タバタの設立

シネマ・チュプキ・タバタの開館に向けては、約1880万円の寄付が集まり、その資金を使ってフロアを改装し、2016年9月1日に開館しました。初めての上映作はチャールズ・チャップリン監督のサイレント映画『街の灯』でした。この映画の上映は、場面ごとの音声解説をイヤホンから流すという工夫がされており、観客に新たな体験を提供しました。

運営理念

施設の理念は「障がい者専用シアターではなく、誰でも映画を楽しめるユニバーサルシアター」としています。平塚監督は、「障がいの原因は社会環境にある」との考え方を持ち、バリアを取り除くことによって、観客が互いに理解しあう機会を創出しようと努力しています。この理念のもと、障がいを持つ生活環境の困窮者には入場料が割引されます。

上映作品の選定

上映作品は、支配人である佐藤浩章が選定し、ただ面白いだけでなく、観た後の感情や人生における希望も考慮されます。日本映画は日本語字幕付きで上映され、作品によってはオリジナルの音声を大切にしながらも、より多くの人々に配慮した形で提供されています。

設備

館内は「森の中」をイメージしたデザインで、観客が自然を感じながら映画を楽しめる環境を整えています。床には人工芝が敷かれ、音響設備は11.1chのドルビーアトモスに対応。また、音声ガイドは全座席に設置されたイヤホンで提供され、どの座席でも適切な音声を楽しむことができます。障がい者に対しても十分な配慮がされており、車椅子対応の席や親子鑑賞室が設けられています。

最後に

シネマ・チュプキ・タバタは、映画が持つ力を様々な形で引き出し、障がいの有無に関係なく皆が楽しめる空間を提供しています。施設を通じて、映画の楽しさだけでなく、社会の理解を深めるきっかけを作ることができる場所です。

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