シビリャコフ (砕氷船)

シビリャコフ：ソ連の砕氷船の歴史

シビリャコフは、ソ連で活動していた砕氷船であり、特に北極探検の歴史において重要な役割を果たしました。もともとこの船は、グラスゴーにて建造されたもので、ニューファンドランドでアザラシ猟用の汽船「ベラヴェンチャー」として1908年に起工し、1909年に進水、同年中に完成しました。その後、1906年にロシアが購入し、アレクサンドル・シビリャコフという金鉱山所有者に因んで改名されました。このシビリャコフ氏は、シベリア地域への探検に資金を提供していただけでなく、自らも探検隊に参加していました。

シビリャコフは、北極海の航路を冬越しすることなく一度の航海で完全に通過した最初の船としても知られています。アーランゲリスクを1992年6月28日に出発し、カラ海を渡り、未開の地であるセヴェルナヤ・ゼムリャ諸島の北を経てラプテフ海に入港しました。この航海の過程で、シビリャコフは多くの困難に直面しましたが、それでも船の能力を発揮して進み続けました。

特に、1932年の航海中に起きたプロペラシャフトの破損は辛い出来事でした。シビリャコフは、11日間漂流しながらも救助のために即席の帆を作り、チュクチ海を越えて10月にはベーリング海峡に到達しました。依然として厳しい状況ではありましたが、その努力の結果、無事に横浜に着くことができました。このように、シビリャコフは其の名に恥じぬ輝かしい功績を残しました。

しかし、シビリャコフの運命は第二次世界大戦中に急変します。1942年8月25日、ノルデンショルド諸島のRussky島北西沖でドイツ海軍の重巡洋艦アドミラル・シェーアと遭遇し、襲撃を受けて沈没しました。この戦闘により、重傷を負った船長を含む22人がドイツ軍に救助される結果となり、それぞれが極限状態での生存を果たしました。また、一名はBeluha島にたどり着き、約一ヵ月後に救助されるというサバイバルを経験しました。戦争が終息するまでに生存した乗員は15名のみでした。

シビリャコフは、その生涯を通じて数々の探検を支え、数多くの困難を乗り越えた多彩な歴史を有していました。最大トン数は1383トン、全長76.5メートル、全幅10.8メートル、吃水6メートルと、物理的にも壮大な船でした。蒸気エンジンを搭載し、2360馬力を誇り、最高速力は13ノットに達していました。また、乗員は104名を数え、船は数々の北極探検に寄与したのです。

シビリャコフの戦歴や探検の歴史は、時代を越えて語り継がれ、北極地域の探査における重要な要素として記憶されています。

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