シマノ・Deore LX

Deore LX：シマノMTBコンポーネントの進化を語る

シマノが製造するマウンテンバイク向けコンポーネントの一つに「Deore LX」があります。XTR、Deore XTに続く上位グレードとして、高い性能と信頼性を誇るシリーズです。Deore、Alivioよりも上位に位置づけられ、長年にわたって多くのMTBライダーに愛用されてきました。

M580シリーズ以前のDeore LX

かつては、Deore XTとDeore LXの間に「DX」というグレードが存在していました。しかし、MTB人気落ち着きと不景気の影響を受け、DXは廃止されました。この状況を受け、LXは上位機種に迫る性能を持つグレードへと進化を遂げます。その結果空いた入門スポーツ向けグレードのポジションには、新たにDeoreが投入されました。

M580シリーズのLXは、軽量でありながら高い強度を兼ね備えていました。レースにも対応可能な性能を持ち、15～20万円台の完成車に多く採用されていました。9速スプロケットと、上位機種と同等のHOLLOWTECH IIボトムブラケット一体型中空クランクが特徴です。このクランクは高い剛性と軽量化に貢献しました。

M600シリーズ以降とSLXへの移行

2008年5月、Deore LXはフルモデルチェンジを迎えます。この際に、Deore LXの名称はクロスバイク用コンポーネントに使用されることとなり、従来のMTB用コンポーネントは新たに「SLX」として生まれ変わりました。

クロスバイク用となったDeore LXですが、技術的な特徴はMTB用とほぼ変わりません。HOLLOWTECH IIクランク、9速リアスプロケット、Vブレーキや油圧ディスクブレーキシステムなども引き続き採用されました。クロスバイクでの使用を考慮し、チェーンリングは48-36-26T、リアスプロケットはロー側が28Tのものが追加されています。また、ブレーキレバーは3フィンガー型のロングレバーを採用しました。型番はM660番台となりました。これは、以前のMTB用Deore LXであったM650番台のDeore DXを継承する形となっています。

このモデルチェンジに伴い、MTB向けのDeore LXはSLXへとバトンタッチしました。SLXは、クロスカントリーMTBだけでなく、20ミリ スルーアクスルハブなど、オールマウンテンに対応したパーツを積極的に採用するなど、シマノのHONEシリーズを受け継ぐ存在となりました。より幅広いMTBライディングに対応できるよう進化を遂げたのです。

Deore LXの系譜とマウンテンバイクの歴史

Deore LXは、シマノMTBコンポーネントの歴史において重要な役割を果たしました。MTB人気変遷、市場のニーズの変化に対応しながら、常に進化を続け、多くのライダーに支持されてきました。DXの廃止、SLXへの移行という大きな変化を経て、その名前はクロスバイクの世界へ受け継がれ、新たな役割を担うことになります。その進化の過程は、MTBそのものの進化と深く関わっていると言えるでしょう。Deore LXの歴史は、マウンテンバイクというスポーツの歴史そのものを映し出しているのです。

まとめ

Deore LXは、シマノが誇るMTBコンポーネントシリーズとして、長年にわたって高い評価を受けてきました。その進化の歴史は、市場環境の変化や技術革新を反映しており、MTBの歴史と密接に繋がっています。SLXへと受け継がれた技術と精神は、今もなお多くのライダーを魅了し続けているのです。

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