シマノ・SAINT

シマノ SAINT：過酷なオフロードに対応する、究極のマウンテンバイクコンポーネント

シマノが誇るマウンテンバイク用コンポーネント、SAINTは、クロスカントリーとは異なる、ダウンヒルやフリーライドといった過酷な走破性を求めるライダーのために設計された、高耐久性を特徴とする製品群です。Deore XTシリーズのようなクロスカントリー志向とは一線を画し、強度と信頼性を最優先に開発されています。

強靭な設計：過酷な環境下での信頼性を支える技術

現行のSAINTコンポーネントは、M800番台とM810番台の型番で展開されています。リアハブ軸は、一般的な10mm径・エンド幅135mmに加え、より強度を高めた12mm径・エンド幅150mmに対応する2種類が用意されており、幅広いフレームに対応します。

リアディレイラーは、従来のM800シリーズではハブ軸に直接取り付ける独自の構造を採用することで、転倒時のエンド変形に対する耐久性を飛躍的に向上させていました。これはDeoreシリーズとの互換性を犠牲にする設計上の選択でしたが、過酷な使用条件下での信頼性を優先した結果と言えるでしょう。M810シリーズでは、一般的なエンド取り付け方式に変更されています。

クランクセットには、シマノ独自のHOLLOWTECH2ボトムブラケット一体型を採用。3枚ギアに加え、シングル、または2枚ギアにバッシュガード付きのオプションも用意されています。ペダル取り付け部には鉄製スリーブを内蔵し、強度と耐久性を確保しています。

ブレーキシステムには、油圧式ディスクブレーキが採用され、標準的な160mmローターに加え、より強力な制動力を求めるユーザー向けに203mm径ローターも用意されています。ブレーキレバーは、他のグレードと比べて太く設計されており、その頑丈さが印象的です。

スプロケットは、Deore XTシリーズと互換性があります。全体としては、Deore XTシリーズと同等の高い性能を備えつつ、ダウンヒルやフリーライドにおける衝撃に耐えうる設計がなされています。軽量化よりも、強度確保を最優先した設計思想が、SAINTの大きな特徴です。

SAINT M810シリーズ：さらなる進化

2008年5月に発表されたM810シリーズでは、さらなる進化が遂げられました。異径対向4ピストン油圧式ディスクブレーキの採用により、制動力が向上。クランクギアはダブルまたはシングルとなり、フリーライドやダウンヒルでの使用に最適化されました。リアディレイラーは、従来のハブ軸直接取り付け方式から、一般的なエンド取り付け方式に変更されています。また、ローターマウントもセンターロック方式に変更されるなど、M800シリーズの課題が克服されています。

まとめ：妥協なき強度と信頼性

SAINTは、軽量化よりも強度と信頼性を重視した設計思想に基づいて開発された、ダウンヒルやフリーライドに最適なマウンテンバイクコンポーネントです。過酷な状況下でも高い性能を発揮し、ライダーの挑戦を支える、シマノの技術力の結晶と言えるでしょう。M800シリーズとM810シリーズそれぞれの設計思想の違いにも注目し、使用環境に最適な選択をすることが重要です。

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