シマノ・SLX

シマノSLX：進化し続けるマウンテンバイク用コンポーネント

シマノが2008年8月に発売したマウンテンバイク向けコンポーネント「SLX」は、長年に渡り高い人気を誇るシリーズです。当初はM660番台として登場し、クロスカントリーからダウンヒルエンデューロ、トレイルライディング、ツーリングまで、幅広いライディングスタイルに対応できる汎用性の高さが特徴です。

当初、Deore LXの後継モデルという位置付けでしたが、600番台の型番やオールマウンテンへの対応から、実質的にはHONEの後継モデルとも見なされていました。その高い信頼性と性能から、多くのマウンテンバイク愛好家から支持され、長きに渡り進化を続けています。

初期モデルでは、フロントハブに従来の9ミリ軸に加え、より強度を高めた20ミリのスルーアクスルタイプが追加されました。これは、オールマウンテンやダウンヒルライドにおける過酷な条件下でも高い信頼性を確保するためです。クランクセットは、トリプルギア(44T-32T-22T、48T-36T-26T)に加え、ダブルギア(36T-22T)も用意され、ボトムブラケット一体設計のHOLLOWTECH2が採用されました。フロントディレイラーは、この2枚構成のクランクセットに専用のものが用意されました。

ブレーキシステムには油圧式ディスクブレーキが継続採用され、新設計により制動力が20%向上しました。カセットスプロケットは、SAINTと同じCS-HG80-9を採用し、シフトレバーにはラピッドファイヤ方式が用いられています。これらの組み合わせにより、正確でスムーズな変速と強力な制動力を実現しました。

2010年には、3×10変速のM663/M66*-10系が登場し、より多くのギアを選択できるようになりました。これは、様々な地形やライディング状況への対応力をさらに向上させたことを意味します。2012年にはM670シリーズが発売され、シマノ・シャドー・RD+が導入されました。この技術は、シングルテンションとスタビライザーの採用により、チェーン落ちを効果的に防止するものです。

2016年には、11速化されたM7000シリーズが登場しました。これは、より細かいギア比設定が可能となり、より効率的で快適なライディングを実現するための大きな一歩でした。そして、2019年にはM7100シリーズとして12速化が実現。XTRに遅れること1年で、10枚歯のトップギアを実現したMICRO SPLINE及びHYPERGLIDE+を導入しました。このことで、フロントトリプルは廃止され、よりシンプルで軽量なドライブトレインが完成しました。

このように、SLXは発売以来、常に技術革新を続け、マウンテンバイクの進化とともに歩んできました。その高い信頼性、多様なライディングスタイルへの対応力、そして継続的な進化は、多くのライダーから支持される理由となっています。今後も、マウンテンバイクコンポーネントの進化を牽引する存在として、注目を集め続けるでしょう。

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