シマノ・Tourney

シマノ Tourney：入門者向けコンポーネントの信頼性

シマノが製造・販売するTourneyは、マウンテンバイク、ロードバイク、シティサイクルなど幅広い自転車に使用されるコンポーネント（部品セット）です。シマノの製品ラインナップの中では最も低価格帯に位置づけられ、主に5万円以下の完成車に採用されています。そのコストパフォーマンスの高さから、入門者向けの自転車に最適な選択肢と言えるでしょう。

多様なラインナップと確実な動作

Tourneyは、ユーザーのニーズに対応するため、TX、TY40、TY30、TY22、TY10、TY05といった複数のシリーズに分類されています。各シリーズは性能と価格が異なるため、予算や用途に合わせて最適な製品を選ぶことができます。価格を抑えながらも、信頼性の高い動作はシマノ製品としての品質の高さを示しています。TY18やTY22といったリアディレイラーは、3万円以下の自転車にも多く採用されており、その普及率の高さがうかがえます。一方、TX51やTX71などは、5万円以下の完成車などに多く採用されています。

2012年に登場したTourney A070は、前モデルにはなかったデュアルコントロールレバーを搭載したことで注目を集めました。これにより、Tourneyは最廉価のロードバイク用コンポーネントとしても利用されるようになりました。これは、入門者にとってロードバイクへのアクセスを容易にする大きな一歩となりました。

リアディレイラーと互換性

Tourneyリアディレイラーは、フレームと一体化している点が特徴です。そのため、Tourneyリアディレイラーを前提とした自転車には、他のリアディレイラーを取り付けるためのネジ穴がありません。他のシマノ製品のように交換が容易ではないため、注意が必要です。他のリアディレイラーを使用したい場合は、シマノが提供する「リアディレイラーアダプターユニット」（部品コードY-52Uまたは783614）が必要になります。

近年では、Tourneyは10速まで対応できるようになりましたが、最新のTiagraには対応していません。旧型のTiagraやSORAとは互換性があります。

「シマノ製パーツ採用」自転車の注意点

ホームセンターなどで販売されている低価格帯の自転車には、「シマノ製パーツ採用」という宣伝文句をよく見かけます。これらの自転車に使用されているシマノ製パーツは、多くの場合Tourneyグレードです。しかし、「シマノ製パーツ採用」というだけで、自転車全体の性能や安全性を保証するものではありません。フレームの強度、製造精度、販売店での組み立てや整備の状態も、自転車の性能や安全性に大きく影響します。特にブレーキなどの安全に関わる重要な部品は、シマノ製以外の安価な部品が使われている場合も多いことに注意が必要です。

高木製作所とTourney

現在のシマノTourneyという名称は、戦後の自転車部品メーカーとして名を馳せた高木製作所が1970年代初頭に製造していた上位グレードクランクのブランド名に由来します。高木製作所は、1974年に経営難により市場から撤退しましたが、その技術者の一部はシマノに移籍し、Dura-Aceなど高性能クランク製造の礎を築きました。シマノはその後、高木製作所の技術を受け継ぎ、Tourneyというブランド名でセンタープルブレーキを製造しました。これは、後のDura-Ace EXセンタープルの原型となり、現在のDura-Aceデュアルピボットブレーキへとつながる重要な歴史を持っています。

まとめ

シマノTourneyは、コストパフォーマンスに優れた入門者向けのコンポーネントとして、高い人気を誇っています。しかし、自転車全体の性能はパーツだけでなく、様々な要素に左右されることを理解し、購入時には注意深く検討することが重要です。

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