シム (磁気)

シムの概要

シム（英: shim）は、主に磁場の均一性を調整するために使用される装置です。この装置は、特に核磁気共鳴（NMR）や磁気共鳴画像法（MRI）などの分野において重要な役割を果たしています。シムコイルと呼ばれるCoilが、サンプルの周囲に複数の方向に配置され、電流を流すことによって磁場の不均一性を補正する補正磁場を生成します。これにより、測定精度が向上し、より信頼性のあるデータを得ることが可能になります。

名前の由来

「シム」という名称は、電磁石の磁極面の位置を調整するために使用される機械的な「シム」から由来しています。従来のシムは純粋なスペーサーとして働くものでしたが、現代の用途では電流を調整することで磁場の均一性を向上させるコイルにもその名がつけられるようになりました。この電流を用いるシムを「電流シム」と呼び、その技術は日々進歩しているのです。

NMRおよびMRIにおけるシム調整

NMRやMRIでは、装置を使用する前に、磁場の不均一性を取り除くためのシム調整が必須です。実際、初めてNMR分光計やMRIスキャナーが製造された際、その内部の磁場はほとんど均一ではなく、理想的な磁場から数倍悪化することもしばしばです。

磁場の不均一性は、製造過程や周囲の環境から影響を受けます。具体的には、測定室内の鉄材が磁化し、その結果、装置の磁場に悪影響を及ぼします。また、試料や患者が強力な磁場中に投影されることで、さらなる不均一な磁場が生まれます。これらの問題を解決するために、シム調整が行われ、すなわちマグネットやプローブ、試料などの調整を通じて、均一な磁場が確保されます。

特に、MRIスキャナーでは数リットルに対して1 ppmのオーダーでの均一性が求められ、高分解能NMR分光法では数ミリリットル互いに1 ppb以上の均一性が必要とされます。

シム調整方法

シム調整には、主に「積極的な方法」と「消極的な方法」の2つがあります。積極的な方法では、調整可能な電流を持つコイルを使用します。これによって、磁場を精密に調整することが可能です。一方、消極的な方法では、良好な磁気的性質を持つ鉄片が用いられます。鉄片は、永久磁石や超伝導磁石の近くに配置され、外部の磁場から自身の磁場を生成します。この追加の磁場が、全体的により均一な状態に整える手助けをします。

磁場の不均一性の定義

医療用MRスキャナーでは、中心部の磁場の不均一性を測定する様々な方法が存在していますが、現在広く使用されているのは、スキャナーの中央における異なる体積に対して設定されたvolume root mean square (VRMS) 値です。この基準は、装置の性能を評価する重要な指標となります。また、シムの調整における効果的な手法が次々と工夫されており、医療画像診断の質を向上させるために貢献しています。

シムは、NMRやMRIの分野において、精度と信頼性を高めるために欠かせない要素であり、今後もその技術は進化していくことでしょう。

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