シモンズ (歌手)

シモンズ：日本のフォークシーンを彩った女性デュオの物語

1970年代前半、日本の音楽シーンを華やかに彩った女性フォークデュオ、シモンズ。田中ユミと玉井タエ、二人の女性によって紡がれたハーモニーと、その波乱に満ちた歴史は、多くのフォークミュージックファンに今も語り継がれています。

関西フォークから全国へ羽ばたく

大阪府出身の田中ユミと玉井タエは、高校時代から音楽活動をスタート。憧れのアーティスト、サイモン&ガーファンクルにちなんで名付けられた「シモンズ」として、関西フォークシーンで経験を積み重ねました。ラジオ番組のオーディションをきっかけに上京を果たし、RCAレコードよりデビュー。当初は「あの素晴しい愛をもう一度」がデビュー曲として予定されていましたが、他アーティストへの楽曲提供となり、急遽「恋人もいないのに」でレコードデビューすることとなりました。

このデビュー曲は予想をはるかに超える大ヒットとなり、60万枚以上のセールスを記録。1971年の第13回日本レコード大賞新人賞を受賞する快挙を成し遂げました。その人気は瞬く間に全国へと広がり、数々のライブやテレビ出演を通じて、多くの人々の心を掴みました。

活動休止とソロ活動

しかし、人気絶頂の1974年、玉井タエの結婚を機に、シモンズは活動を休止することになります。その後、1978年にはテレビドラマの主題歌を歌うことで一時的に活動を再開しますが、翌年の玉井タエの離婚を機に、事実上の解散を迎えます。

解散後、田中ユミは元マネージャーと結婚し、ソロシンガー「北川ユミ」として、また「シモンズYumi」や「田中ゆみ」名義でも活動。ラジオDJやゲスト出演などを通して、音楽活動を継続しました。一方、玉井タエは音楽界を離れ、英語教師として新たな人生を歩んでいます。

数々のCMソングと記憶に残るハーモニー

シモンズの活動期間中、100曲を超えるCMソングを手がけたことも特筆すべき点です。中でも、明治製菓（現・明治）のチェルシーのCMソングは、多くの人々の記憶に深く刻まれています。安井かずみによる作詞、小林亜星による作曲という、豪華な布陣による楽曲は、シモンズの美しいハーモニーと相まって、ロングヒットを記録しました。他にも、数多くの企業のCMソングに起用され、その透明感のある歌声は、多くの製品やサービスのイメージを彩りました。

再結成と40周年記念コンサート

1996年には、田中ユミが元ジャネッツの青木まり子（現五つの赤い風船）と共に「新シモンズ」を結成。1999年に解散するも、その後も度々再結成を果たし、2006年には公式ホームページを開設しました。そして2009年、シモンズ結成40周年を記念して、玉井タエを迎えた田中ユミのコンサートが開催されました。解散後初めてとなる二人のデュエットは、多くのファンにとって感動的な瞬間となりました。

それぞれの現在

田中ユミは2009年、長年にわたる歌手活動を「卒業」。その後も女優として、またテレビ番組への出演などを通じて、幅広い活動を展開しています。一方、玉井タエは音楽活動から離れ、英語教師として充実した日々を送っています。

シモンズの音楽は、時代を超えて人々の心に響き続ける、日本のフォークミュージック史における貴重な遺産と言えるでしょう。二人の歌声、そして彼女たちが生み出した数々の楽曲は、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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