シャイニング (映画)

映画『シャイニング』について

『シャイニング』（The Shining）は、1977年に出版されたスティーヴン・キングの同名小説を原作に、スタンリー・キューブリックが監督・製作を務めた1980年の心理ホラー映画です。共同脚本はキングとともにダイアン・ジョンソンが手掛けました。主演にはジャック・ニコルソン、シェリー・デュヴァル、スキャットマン・クローザース、ダニー・ロイドが名を連ねています。

映画は1980年5月23日にアメリカでワーナー・ブラザーズから公開されましたが、劇場版には複数のバージョンが存在し、合計で約27分がカットされています。公開当初は賛否が分かれ、特に原作の著者であるキングは映画が自身の作品と大きく異なる点を指摘し、批判を行いました。しかし現在では、ホラー映画の金字塔とされ、その影響力と評価は非常に高いものとなっています。2018年には、米国議会図書館によって文化的かつ歴史的な重要性が認められ、アメリカ国立フィルム登録簿に登録されました。

あらすじ

物語の舞台はコロラド州のロッキー山中に存在するオーバールック・ホテル。作家志望のジャック・トランスは、冬季には閉鎖されるこのホテルの管理人として、妻のウェンディと息子のダニーを伴って移り住みます。ホテルの支配人から、かつての管理人が家族を惨殺したといういわくつきの過去を聞かされますが、ジャックはその話に心を留めません。

ダニーは「シャイニング」と呼ばれる超能力を持つ少年で、同じ能力を持つ料理長のハロランと出会います。ハロランはダニーに、過去の事件やホテルの秘密について語りますが、次第に家族はこの孤立した環境で心理的に追い詰められていきます。

ジャックはホテルの不気味な影響を受け始め、次第に狂気に陥ります。彼は不思議な存在に命じられるがままに、妻と息子に危害を加えようとします。その間、ダニーは父の狂気から逃れるために知恵を働かせ、最終的に家族の命を救うために行動します。物語は、ホテルの庭にある迷路にて、ジャックが孤立し凍死することで締めくくられます。

作品分析

『シャイニング』は、その独特の撮影技術や演出によっても特筆されます。キューブリックは、特にステディカムを使用した移動撮影技術で注目を集め、視覚的に恐怖を演出する新たな手法を確立しました。映画の中でのキャスティングや演技も話題となり、ジャック・ニコルソンの演技は特に印象的で、彼の演じるジャック・トランスは狂気に満ちたキャラクターとして語り継がれています。

原作との違いも多く、原作には描かれていたホテルの邪悪な意志が映画では薄れ、ジャックの狂気の原因が仕事のプレッシャーやアルコール依存に起因している側面が強調されているところも特徴的です。ウェンディやダニーのキャラクターも、原作とは異なり、映画版では描写が変わっており、家族間の関係性も複雑さを増しています。

評価と影響

現代において『シャイニング』は数多くの映画や作品に影響を与え続け、ホラー映画の一つのスタンダードとされています。公開当時の評価は交錯していたものの、今ではその黒いユーモアや独特の映像美、演技により、多くの映画評論家から絶賛されています。さらに、ホラー映画の金字塔として地位を確立し、後の世代のクリエイターたちに多大な影響を与えたと言えるでしょう。

この作品のポスターや名セリフ、音楽も広く知られ、ポップカルチャーの中に深く根付いています。キューブリック監督の手によるビジュアルと心理的トラウマを描いたこの作品は、ホラー映画における重要なマイルストーンとなっています。

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