シャイラト空軍基地攻撃

シャイラト空軍基地攻撃の概要

2017年4月7日、アメリカ海軍はシリアのホムス県に位置するシャイラト空軍基地に対して、59発のトマホーク巡航ミサイルを発射しました。この攻撃は、同年4月4日に起きたカーン・シェイクンにおける化学兵器攻撃に対する報復の一環として実施されました。この事象は、シリア内戦の勃発以来、アメリカがバッシャール・アサド政権に対して直接的な軍事行動をとった初めてのケースでした。

攻撃の背景

アメリカの攻撃命令を下したのは当時のドナルド・トランプ大統領でした。彼は、同年4月6日の東部時間午後7時、訪米中の中国の習近平国家主席との夕食会の最中にミサイル発射を決定しました。この軍事行動は、攻撃が行われた空軍基地が化学兵器の貯蔵場所とされていたことから、アメリカ政府はこれを正当化しました。

攻撃の実行

シャイラト空軍基地への攻撃は、アメリカのミサイル駆逐艦「ロス」と「ポーター」から行われました。アメリカ政府は、攻撃によるシリア側の死者数はゼロであると発表しましたが、シリア政府は2人の民間人と7人の兵士が死亡したと主張しています。この情勢は、国際的な緊張を一層高める結果となりました。

政治的な影響

この攻撃には、レックス・ティラーソン国務長官の発言も関わっています。彼は、ABCテレビのインタビューで、シリアに対する攻撃は北朝鮮に向けた警告でもあったと述べました。つまり、核実験や弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮に対して、アメリカは必要とあらば対抗手段を講じる姿勢を示したのです。

さらに、2017年4月13日にはアフガニスタンにおいて、ISILの拠点に対してMOAB（大規模爆風爆弾）を初めて使用しました。この行動も北朝鮮への牽制と見なされ、アメリカの軍事力の一端を示すものとなりました。

第三者の見解

また、2018年9月にはジャーナリストのボブ・ウッドワードが、トランプ大統領が攻撃時にアサド大統領の暗殺を指示していたと暴露しました。これに対して当時の国防長官ジェームズ・マティスがその考えを拒絶し、「もっと慎重に進めるべきだ」と述べたことが明らかにされました。アメリカ国内の政治的な力学も絡み合っており、トランプ氏は2020年9月にこの暴露が事実であることを認めています。

結語

シャイラト空軍基地攻撃は単なる軍事行動ではなく、国際政治における複雑な背景がありました。アメリカの軍事力を行使したこの瞬間は、シリア内戦のさらなる激化と地政学的な緊張を引き起こす結果となり、その後の国際情勢にも影響を与えました。

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