シャルミラ・タゴール

シャルミラ・タゴールの生い立ちとキャリア

シャルミラ・タゴール（Sharmila Tagore）は、1944年12月8日にインドのハイデラバードで生まれました。彼女は伝統あるタゴール家に生まれ、伯父には詩人ラビンドラナート・タゴールがいます。このような背景を持つ彼女は、14歳でサタジット・レイの映画『大樹のうた』に出演し、女優デビューを果たします。タゴールは、その後もレイの作品に多く出演し、国際的に認められる存在となります。

1964年、ヒンディー語映画『Kashmir Ki Kali』に出演したことで、タゴールはヒンディー語映画界でもその名を知られるようになります。この役をきっかけに、彼女はヒンディー語映画の人気女優として地位を築きます。その後、『An Evening in Paris』（1967年）でインド人女優として初めてビキニ姿を披露したことが話題となり、セックスシンボルとしての地位も確立しました。彼女は、特に1970年代に多くのヒット映画に出演し、商業的にも批評的にも成功しています。

タゴールは、姉妹のオインドリアとロミラと共に育ち、教育を重視する家庭環境の中で成長しましたが、女優業への情熱が強まるにつれ、学業から距離を置くようになります。父親の勧めもあり、最終的には女優としての道を選びました。

結婚と家族

1968年、彼女はクリケット界の名選手、マンスール・アリー・カーン・パタウディと結婚し、彼女はヒンドゥー教からイスラム教に改宗しました。この結婚によってパタウディ藩王妃の称号も得ましたが、1971年にインド憲法が改正され、旧藩王国の特権が廃止されたことにより称号を失いました。

タゴールとパタウディ夫妻の間には、俳優のサイーフ・アリー・カーン、宝石デザイナーのサバー・アリー・カーン、女優のソハ・アリー・カーンの3人の子供がいます。彼女は2011年に夫を失いましたが、子供たちと共にそれぞれの人生を歩んでいます。

映画キャリアの集大成

1970年代にタゴールは最盛期を迎え、ラージェーシュ・カンナーとの共演で知られる『Aradhana』や『Amar Prem』など、多くのヒット作に出演しました。彼女の演技は、特に感情豊かで自然であることが高く評価され、多数の映画賞にもノミネートされました。2000年代に入ると、彼女は徐々に出演作を減らし、2013年にはパドマ・ブーシャン勲章を受章する等、国からも高く評価されています。

近年では、2023年にDisney+ Hotstarの『Gulmohar』に出演し、23年ぶりに女優業に復帰したことで話題となりました。その演技は、長いブランクを感じさせない見事なもので、批評家から絶賛を受けました。

評価と影響

シャルミラ・タゴールは、インド映画史において特別な存在として位置付けられています。彼女は、1960年代から1970年代にかけて最も興行収入を上げた女優の一人であり、多くの作品で主役を演じ、その幅広い演技力が高く評価されてきました。タゴールのスタイルやメイクは、後の世代の女優に多大な影響を与え、彼女自身が「スタイルアイコン」として知られるようになりました。

タゴールの足跡は、インド映画の形式と内容に革新をもたらしただけでなく、彼女の独自の魅力と演技力から、今もなお多くの人々に感動を与えています。

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