シャルル・ド・ラ・フォッス

シャルル・ド・ラ・フォッス：華麗なるフランス装飾絵画の巨匠

シャルル・ド・ラ・フォッス（Charles de La Fosse、1636年6月15日 - 1716年12月13日）は、バロック期フランスを代表する画家の一人です。彼は、壮麗な装飾絵画の分野で傑出した才能を発揮し、宮廷画家として、また王立絵画彫刻アカデミーの要職を歴任しました。

生涯

パリに生まれたラ・フォッスは、幼い頃からその才能を開花させました。ルイ14世の筆頭宮廷画家であったシャルル・ルブランの工房に入り、絵画の基礎を学びます。1650年代には、ルブランの指導のもと、パリの神学校やランベール館の装飾画制作に携わりました。これらの初期の仕事を通じて、ラ・フォッスは装飾絵画の技術を磨き、その才能を徐々に開花させていきました。

ルブランの推薦により、ラ・フォッスはイタリアへの留学の機会を得ます。1658年から1663年までイタリアに滞在し、ローマ、パルマ、ヴェネツィアといった主要都市で、巨匠たちの作品を研究しました。特にローマでは、ルネサンスやバロックの巨匠たちの作品から大きな影響を受け、その後の画風に反映させています。

帰国後、ラ・フォッスは再びルブランのもとで、テュイルリー宮殿やベルサイユ宮殿といった王室の建造物の装飾画制作に携わります。これらのプロジェクトを通じて、彼の名声は高まり、フランスを代表する画家としての地位を確立していきます。1673年には王立絵画彫刻アカデミーの会員に選ばれ、翌年にはエコール・デ・ボザールの教授に任命されました。アカデミーでの活動を通じて、後進の育成にも力を注ぎました。

1689年から1692年の間には、イギリスのモンタギュー公爵の依頼でイギリスに渡り、モンタギュー・ハウスの再建プロジェクトに参加しました。このプロジェクトは、彼の国際的な名声を高めるきっかけとなりました。

1690年にシャルル・ルブランが亡くなると、建築家のジュール・アルドゥアン＝マンサールは、オテル・デ・ザンヴァリッドの装飾画の仕事でラ・フォッスをフランスに呼び戻しました。マンサールの推薦により、1702年には王立絵画彫刻アカデミーの学部長に就任しました。その後も、数多くの装飾画を手がけ、その才能を遺憾なく発揮し続けました。

作品の特徴と評価

シャルル・ド・ラ・フォッスの作品は、華麗で装飾的なバロック様式を特徴としています。彼は、神話や寓意を題材とした壮大なスケールの作品を数多く手がけ、その色彩の豊かさと構図の巧みさで人々を魅了しました。特に、天井画や壁画といった装飾絵画の分野で、その才能をいかんなく発揮し、フランスのバロック美術の発展に大きく貢献しました。

今日、ラ・フォッスの作品は、ルーブル美術館をはじめとする世界中の主要な美術館に所蔵されています。彼の作品は、バロック美術の研究者や愛好家にとって、貴重な資料となっています。

代表作

「モーセの発見」
「ディアナとエンデュミオン」
ベルサイユ宮殿の装飾画
テュイルリー宮殿の装飾画

参考文献

* "Dictionnaire de la peinture française Larousse", Paris, 1989, korrigierte Auflage 1991, Librairie Larousse, ISBN 2-03-740011-X.

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