シャーベル

シャーベル：コンポーネントギターのパイオニアから現代へ

シャーベルは、フェンダー社の傘下にあるギターブランドです。その歴史は、1970年代、カリフォルニア州サンディマスで始まりました。当初は、他のメーカー製のネックやボディなどのパーツを仕入れ、塗装や組み立てを行うサービスを提供していました。しかし、エドワード・ヴァン・ヘイレンが自身のギターにシャーベル製のパーツを採用したことがきっかけで、ブランドとしての知名度を大きく高めました。

80年代：ディンキーシェイプとコンポーネントギターの隆盛

1978年、シャーベルはグローヴァー・ジャクソンに買収され、アメリカでシャーベル社を設立。この時代、シャーベルはストラトキャスターをベースとした独自のモデルを開発し、特に「ディンキー」と呼ばれるボディシェイプは、その後のギターデザインに大きな影響を与えました。80年代のシャーベルは、コンポーネントギター（パーツを自由に組み合わせて製作するギター）を代表するブランドの一つとして、高い人気と評価を得ていました。

日本製シャーベル：アメリカ製との違いと市場での位置づけ

1986年からは、共和商会／中信楽器製造による日本での生産も開始されました。これらの日本製シャーベルギターは、ネックプレートに「Ft. Worth, TX」（当時のアメリカ本社所在地）と刻印されていたため、アメリカ製と誤解されることもありましたが、実際は日本製です。日本での生産は1990年代半ばまで続き、当初は高い評価を得ていましたが、その後は価格帯が下がり、ジャクソンの廉価版としての位置づけになっていきました。

フェンダー傘下での展開と現代

2002年、シャーベルはフェンダー・ミュージカル・インスツルメンツ社に買収されました。現在では、San DimasやSo-calといったモデルを中心に、楽器店からのオーダーメイドを中心とした展開を行っています。また、ウォーレン・デ・マルティーニやジェイク・E・リーといった著名なギタリストのシグネチャーモデルも製作されています。さらに、2019年には、2011年以来途絶えていた日本国内での生産が再開されました。これにより、高い品質とクラフトマンシップを兼ね備えたシャーベルギターが再び日本市場で入手できるようになりました。

ウェイン・シャーベルと新たなブランド

一方、シャーベルの創設者であるウェイン・シャーベルは、現在、自身のブランド「Wayne」を立ち上げ、高級ハンドメイドギターの製作を行っています。ウォーレン・デ・マルティーニなど、多くの著名ギタリストが彼のギターを使用しており、その高い技術力と品質は高い評価を受けています。

シャーベルの歴史を紐解く

シャーベルの歴史は、コンポーネントギターの発展と密接に結びついています。70年代のサービス提供から、80年代のディンキーシェイプによる一世風靡、日本での生産を経て、フェンダー傘下での現代的な展開まで、その歩みは常に革新と進化を遂げてきました。そして、創設者であるウェイン・シャーベルの新たなブランド設立も、ギター製作における彼の揺るぎない情熱を示しています。これからもシャーベルは、多くのギタリストに愛され、ギター史にその名を刻み続けることでしょう。

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