シュウシュウの季節

映画『シュウシュウの季節』の概要

『シュウシュウの季節』（原題：Xiu Xiu: The Sent Down Girl）は、1998年にジョアン・チェン監督が手掛けたアメリカ・香港合作の映画で、中国出身の作家ゲリン・ヤンの短編小説「天浴」を原作としています。本作は、1970年代の中国での文化大革命を背景に、特に社会的な環境が少女たちに与える影響をテーマにしています。

ストーリーとキャラクター

物語は1975年、中国四川省成都市に住む少女、秀秀（シュウシュウ）の視点から描かれます。彼女は政府の下放政策によって、草原での放牧労働を行うために家族や友人と別れ、地方に送られることになりました。秀秀は少数民族の男性、老金（ラオジン）の下で新たな生活を始めます。

最初は無口で無骨な老金と衝突することもあった秀秀ですが、次第に彼との関係は親密になり、厳しい労働に慣れていくものの、心の中では成都への帰還を強く願っていました。しかし、帰還の日が近づくにつれて、文革の風潮は薄れ、彼女に対する迎えはついに来ることがありませんでした。

その後、秀秀がテントで生活をしていると、彼女の前に「本部につてがある」という青年が現れます。秀秀は故郷に戻りたい一心で、次第に彼に心を許し、身体を委ねるようになります。金銭や人脈を持たない彼女は、男の言葉を信じ、自らの身体を未来に繋げる手段とするしかありませんでしたが、待ち望む帰郷の道は開けることはありません。

やがて、秀秀は妊娠することが判明します。老金は彼女を街へ連れて行き、中絶手術を受けさせます。しかし、見舞う失意の中で秀秀は帰郷の手段を必死に探し続けます。そして、彼女は自己犠牲の果てに、老金に頼んで自らを撃たせる決意を固めます。彼女は再び赤いスカーフを巻き直し、髪を結い直すことで、古き良き日の自分を取り戻そうとするのです。

受賞歴と影響

『シュウシュウの季節』は、第35回金馬奨において作品賞や監督賞、主演男優賞、主演女優賞などを受賞し、特に作品賞や監督賞を独占したのは本作のみです。また、1999年にはナショナル・ボード・オブ・レビューから国際自由賞を受賞し、第14回パリ映画祭でも審査員特別賞と主演女優賞を獲得しました。

この映画は、ただの少女の成長物語ではなく、政治や文化、社会の影響が人間にどのように作用するのかを示す深い作品となっています。視覚的美しさや繊細な感情表現が際立っており、観客に強いメッセージを伝える力を持つ作品です。

原作と関連書籍

映画の原作となったゲリン・ヤンの短編小説「天浴」は、1999年に角川文庫から発刊され、他にも『白蛇』や『少女小漁』など、さまざまな短編が収められています。本作を通じて、中国の文化大革命がもたらした個人の悲劇を知ることができる良い機会となるでしょう。

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