シュガーヒル・ギャング

シュガーヒル・ギャング

アメリカ合衆国ニュージャージー州イングルウッドで結成されたヒップホップ・グループ、シュガーヒル・ギャング（The Sugarhill Gang）は、黎明期のヒップホップにおいて最も重要なグループの一つとしてその名を刻んでいます。彼らは特に、1979年にリリースし、商業的に大きな成功を収めた最初期のラップ・ソングとされる「ラッパーズ・ディライト（Rapper's Delight）」で広く知られています。

略歴

グループは1979年、音楽プロデューサーであるシルヴィア・ロビンソンによって設立された新興レーベル、シュガーヒル・レコードからデビューを飾りました。同年に発表された彼らのデビューシングル「ラッパーズ・ディライト」は、瞬く間に大きな反響を呼び起こしました。この楽曲は、シックの楽曲「グッド・タイムズ（Good Times）」のベースラインを借用し、当時のストリートで流行していたラップのスタイルを初めてレコードとして商業ベースに乗せた画期的な試みでした。特に注目すべきは、「ラッパーズ・ディライト」が、アメリカの著名なラジオ番組『American Top 40』のチャートに、ヒップホップ・シングルとして史上初めてランクインを果たしたという事実です。これにより、ヒップホップは一部のコミュニティを超え、メインストリームの音楽シーンにその存在を知らしめるきっかけを得ました。

「ラッパーズ・ディライト」での歴史的な成功以降、彼らはその後のリリースで同レベルの商業的ヒットを継続することはできませんでしたが、オールドスクール・ヒップホップのパイオニアとしての揺るぎない地位を確立しました。現在もなお、彼らはその遺産を受け継ぎ、精力的に活動を続けています。

メンバー

シュガーヒル・ギャングの核をなすのは、以下のMCたちです。

ワンダー・マイク（Wonder Mike）
本名：マイケル・アンソニー・ライト（Michael Anthony Wright）
生年月日：1958年4月30日
担当：MC

マスター・ジー（Master Gee）
本名：ガイ・オブライエン（Guy O'Brien）
生年：1963年
担当：MC

過去のメンバー

ビッグ・バンク・ハンク（Big Bank Hank）
本名：ヘンリー・ジャクソン（Henry Jackson）
生年月日：1957年8月5日
逝去年月日：2014年11月11日
担当：MC
2014年に癌による合併症のため逝去しました。

ディスコグラフィ

彼らはキャリアを通じて多数のアルバムやシングルをリリースしています。

スタジオ・アルバム

『シュガーヒル・ギャング』 - Sugarhill Gang (1980年、Sugar Hill)
『エイス・ワンダー』 - 8th Wonder (1982年、Sugar Hill)
Rappin' Down Town (1983年、Sugar Hill)
Livin' in the Fast Lane (1984年、Sugar Hill)
Jump on It! (1999年、Kid Rhino)

コンピレーション・アルバム

Sugarhill Gang Greatest Hits (1984年)
『ザ・ベスト・オブ・シュガーヒル・ギャング』 - The Best of Sugarhill Gang: Rapper's Delight (1996年)
Ain't Nothin' but a Party (1998年)
Back to the Old School 2 - Rapper's Delights (1999年)
『ザ・ショウダウン:シュガーヒル・ギャングVSグランドマスター・フラッシュ&フューリアス・ファイヴ』 - The Showdown (1999年) ※グランドマスター・フラッシュ&フューリアス・ファイヴとの共同名義
The Greatest Hits (2000年) ※グランドマスター・フラッシュとの共同名義
The Greatest Hits of Sugarhill Gang (2004 Tour) (2004年)
The Story of Sugarhill Records (2005年)
Hip Hop Anniversary Europe Tour: Sugarhill Gang Live (2008年)
Rhythm & Rhymes: The Definitive Collection (2010年)

シングル

「ラッパーズ・ディライト」 - "Rapper's Delight" (1979年)
"Rapper's Reprise (Jam Jam)" (1980年)
"8th Wonder" (1980年)
"Apache" (1981年)
"Showdown" (1981年)
"The Lover In You" (1982年)
"The Word Is Out" (1983年)
"Be A Winner" (1983年)
"Kick It Live from 9 to 5" / "The Lover In you" (1983年)
"Livin in the Fast Lane" (1984年)
"Troy" / "Girls" (1984年)
"The Down Beat" (1984年)
"Work, Work The Body" (1985年)
"Rapper's Delight (Hip Hop Remix '89)" (1989年)
"Lala Song (featuring Bob sinclar)" (2009年)

シュガーヒル・ギャングは、「ラッパーズ・ディライト」という記念碑的な一曲を通じて、ヒップホップ音楽を世界に広める上で不可欠な役割を果たしました。彼らの存在は、今日の多様なヒップホップ文化へと繋がる重要な礎となっています。

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