シュトゥットガルト放送交響楽団

シュトゥットガルト放送交響楽団

シュトゥットガルト放送交響楽団（ドイツ語名称: Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR）は、かつてドイツのシュトゥットガルトを拠点に活動を展開していた、南西ドイツ放送（SWR）に属していたオーケストラです。第二次世界大戦後の混乱期に設立され、およそ70年にわたる歴史の中で、国内外にその名を知られる存在となりましたが、2016年に他の楽団との統合によりその活動を終えました。

沿革

楽団の起源は、第二次世界大戦終結直後の1945年に遡ります。当時のアメリカ占領軍が文化復興の一環として設立したのが始まりです。当初は南ドイツ放送局（SDR）に所属しており、1975年までは「南ドイツ放送交響楽団」（SDR Symphonieorchester）という名称で活動していました。この初期の頃から、ドイツ南西部の主要なオーケストラとして、放送を通じて広く音楽を届ける役割を担っていました。

楽団の芸術的な評価を飛躍的に高めた重要な時期の一つが、セルジュ・チェリビダッケが1971年から1977年まで首席客演指揮者を務めた期間です。彼は一切の妥協を許さない独自の音楽づくりで知られ、楽団の響きを鍛え上げました。このチェリビダッケの厳しい指導の下で培われた演奏水準は、楽団が国内外で名声を確立する上で決定的な役割を果たしました。また、この時期には若き日のカルロス・クライバーが客演指揮を務めた際の貴重な映像記録なども存在し、今日の音楽研究において重要な資料となっています。

1998年には、ドイツの公共放送局が組織再編されたことに伴い、所属が南西ドイツ放送（SWR）へと変更されました。これにより、正式名称も現在のシュトゥットガルト放送交響楽団となりました。楽団は主にコンサートオーケストラとして、シンフォニー演奏を中心に活動していましたが、その活動範囲はそれにとどまりませんでした。たとえば、バーデン＝バーデン祝祭劇場のオペラピットに入って演奏するなど、劇場音楽の分野でも豊富な経験を積んでいました。また、ユニテル制作のオペレッタ映画のバック演奏を担当するなど、録音や映像制作にも積極的に関与し、多様なメディアを通じてその音楽を届けました。

楽団の歴史は2016年に一つの区切りを迎えます。同じくSWRに所属していたバーデン＝バーデン・フライブルクSWR交響楽団と統合され、新たに「南西ドイツ放送交響楽団」（SWR Symphonieorchester）が創設されたためです。これにより、シュトゥットガルト放送交響楽団という名称での活動は終了しましたが、その芸術的伝統は新しいオーケストラに引き継がれています。

歴代の主要指揮者

楽団の歩みは、多くの優れた指揮者たちによって彩られてきました。歴代の首席指揮者や首席客演指揮者には、以下のような顔ぶれが並びます。

1946年 - 1948年: グスタフ・ユリスク
1948年 - 1969年: ハンス・ミュラー＝クライ
1971年 - 1977年: セルジュ・チェリビダッケ（首席客演指揮者）
1983年 - 1989年: ネヴィル・マリナー
1989年 - 1995年: ジャンルイジ・ジェルメッティ
1996年 - 1998年: ジョルジュ・プレートル（首席客演指揮者）
1998年 - 2011年: ロジャー・ノリントン
2011年 - 2016年: ステファヌ・ドゥネーヴ

これらの指揮者たちが、それぞれの時代に楽団の音楽性を高め、多様なレパートリーに取り組むことで、シュトゥットガルト放送交響楽団はその歴史の中で確固たる地位を築きました。特にチェリビダッケやノリントンなど、個性的な音楽解釈で知られる指揮者との協演は、楽団のサウンドに独自のカラーを与えました。活動期間は終了しましたが、彼らが残した数多くの録音は、今日でも楽団の豊かな芸術的遺産を伝えています。

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