シュベツォフ ASh-62

シュベツォフ ASh-62（またはM-62）は、ソビエト連邦で開発された航空用エンジンであり、そのルーツはアメリカ合衆国のライト R-1820サイクロンエンジンにあります。元々はM-25としてライセンス生産されていたサイクロンエンジンを基に、大幅な改良が加えられました。

開発と改良

ASh-62は、M-25の発展型として開発されました。主な改良点として、二速式過給器の採用と吸気システムの改良が挙げられます。これらの改良により、エンジンの性能は飛躍的に向上し、オリジナルのサイクロンエンジンの775hpから1,000hpへと出力が大幅に向上しました。

生産と命名

量産は1937年に開始され、ソ連国内だけでも40,361基が生産されたと推定されています。当初は「M-62」という名称でしたが、生産途中で航空用エンジンの命名規則が変更され、「ASh-62」に改名されました。このエンジンは、ソ連だけでなく、ポーランドや中華人民共和国でも生産されました。特にポーランドでは、「ASz-62」として現在でもライセンス生産が行われています（2007年時点）。

設計

タイプ：空冷星型単列9気筒
ボア×ストローク：156mm × 175mm
排気量：29.8 L
圧縮比：6.4
燃料供給方式：キャブレター式
過給器：機械式遠心過給器1段2速

性能

出力：1000hp / 2,200rpm （離昇出力）
850hp / 2,100rpm （高度4,200m）
比出力：33.6 hp/L

搭載機

ASh-62エンジンは、以下の航空機に搭載されました。

ソビエト連邦
I-153
I-16
R-10
Su-2
Li-2
An-2
Su-12
ポーランド
PZL-106
M-18
* M-24

総括

シュベツォフ ASh-62は、その信頼性と高性能から、長年にわたり多くの航空機に搭載された傑作エンジンです。ソ連の航空産業を支えただけでなく、ポーランドや中国など、他の国々でも生産され、広く利用されました。その設計は、現代の航空エンジンの基礎を築いたと言えるでしょう。

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