シュレディンガーの猫 (Brian the Sunのアルバム)

Brian the Sun ミニアルバム『シュレディンガーの猫』

概要

『シュレディンガーの猫』は、日本のロックバンド、Brian the Sunがインディーズ時代に発表した2枚目のミニアルバムである。2015年11月25日、SPACE SHOWER MUSICから発売された本作は、前作となるフルアルバム『Brian the Sun』のリリースから約1年を経て、そしてミニアルバムとしては前作『彼女はゼロフィリア』以来、およそ1年8ヶ月ぶりの新作として届けられた。バンドのインディーズ後期における重要な位置を占める作品である。

収録曲と楽曲解説

本作には、バンドの歴史を彩る個性豊かな全5曲が収録されている。すべての楽曲の作詞および作曲は、バンドのフロントマンである森良太が一貫して手掛けている。収録された楽曲には、既に自主製作盤として発表されていたシングル曲や、初期からライブで披露されてきた楽曲が含まれており、当時のバンドの歩みを辿ることができる構成となっている。

1. 都会の泉 [4:42]

オープニングを飾るのは「都会の泉」である。この楽曲は、かつてバンドがインディーズで活動していた時期に自主製作盤として発表された、3枚目のシングルの表題曲であった。今回、改めてこのミニアルバムに収録されるにあたり、新たなアレンジやレコーディングが施されている可能性がある。都会に生きる人々の心情を描いた歌詞と、Brian the Sunらしいメロディーが印象的な楽曲である。

2. half cab [3:43]

続く「half cab」は、本ミニアルバムのために書き下ろされた新曲として収録された可能性が高い一曲である。アルバムの中盤に配置されることで、既発曲とは異なる新鮮なサウンドやアプローチを提示し、アルバム全体の多様性を高めている。スケーラブルな演奏とキャッチーなメロディが特徴的だ。

3. シュレディンガーの猫 [3:37]

アルバムのタイトルを冠する「シュレディンガーの猫」は、本作の核となる楽曲である。この曲は、Brian the Sunがバンドを結成した初期の頃からライブで演奏され続けてきた、ファンからの人気も高い代表曲の一つである。過去には、バンド初の自主製作盤となる1stシングル『Canary』の収録曲としても発表されていた。さらに、本作のリリース時期に合わせて、テレビ朝日系の全国放送音楽番組『musicる TV』の2015年11月度オープニングテーマに起用されたことで、より多くのリスナーに知られるきっかけとなった。哲学的なテーマを内包した歌詞と、疾走感あふれるバンドサウンドが融合した代表曲である。

4. 同じ夢 [5:15]

4曲目に収録されている「同じ夢」は、本作において重要な位置を占める楽曲である。約5分に及ぶ演奏時間を持つこの楽曲は、他の収録曲と比較してやや長尺であり、じっくりと聴かせるタイプの楽曲と推測される。内省的な歌詞や壮大なサウンドスケープによって、アルバムに深みを与えている。

5. 虹 [3:21]

ミニアルバムの掉尾を飾るのは「虹」である。この楽曲もまた、過去に自主製作盤としてリリースされた経緯を持つ。具体的には、自主製作盤5thシングル『虹/はちみつ』の表題曲として発表されていたものである。アルバムの締めくくりにふさわしい、前向きで希望を感じさせるメロディーと歌詞が印象的であり、聴後に爽やかな余韻を残す。

アートワーク

本作のジャケット写真は、仙台を拠点に活動しているアーティスト兼イラストレーターである菅野 麻衣子によって制作された。アルバムのタイトルが持つSF的な響きと、それに含まれる「猫」というキーワードに着想を得て、独特のタッチで描かれたイラストレーションが用いられている。ジャケットアートワークは、アルバムの世界観を視覚的に表現する重要な要素となっており、作品全体のコンセプトをより深く理解するための手助けとなる。

まとめ

ミニアルバム『シュレディンガーの猫』は、Brian the Sunのインディーズ時代後期の活動を総括し、これまでの歩みと当時の音楽性を凝縮したような作品である。自主製作盤として発表されていた既発曲と、おそらく新曲と見られる楽曲をバランス良く配置することで、バンドの軌跡と現在の勢いを同時に示すことに成功している。特に、長年演奏されてきた表題曲が初めてパッケージ化されたことや、タイアップを獲得したことは、バンドにとって大きな節目となったと言える。全5曲ながら、Brian the Sunの持つ多様な音楽性とメッセージが詰まった、聴きごたえのある一枚となっている。

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