シューターワン

シューターワンは、MGC（マルゼンガン）の製品で、モデルガン用のシューティングデバイスです。この装置は、電池で動作するターゲット型となっており、弾の飛ばないモデルガンでも発火時の赤外線を感知し、擬似的に的に命中したかのような動作を実現します。これは、従来のシューティング体験にはない新しい楽しみ方を提供するものです。

製品開発の経緯

MGCは、モデルガンに対して数々の規制を経験してきました。このため、特に弾が出るトイガンには強い抵抗感を持っていました。エアソフトガンに対してもタブーとみなしており、自社の刊行物でその見解を表明していました。しかし、ユーザーが銃器の本質である「弾を飛ばす」ことに魅力を感じていることに着目し、弾を使用せずに的に当たる感覚を得るためのデバイスを研究してきました。

モデルガンにはすでにビームライフル競技や射撃ゲームに用いた光線技術がありましたが、その応用には多くの試行錯誤が伴いました。火薬の使用に伴う危険性から多数のアイデアが却下され、最終的には玩具煙火（キャップ火薬）が発火した際に放出される微弱な赤外線に着目し、RAY-Xプロジェクトが始まりました。開発コード「RAY-X203」として知られるこの製品は、市販化に至るまでに複数の試作が行われました。

製品詳細

シューターワンは、赤外線受光部と可倒式のターゲットで構成されており、単一電池4本で動作します。アクセサリー端子は存在しますが、公式のオプション品は発表されていませんでした。この端子を利用した自作のタイマー回路が紹介された事例もありますが、メーカー純正の製品は登場しませんでした。

このデバイスはMGキャップ発火時の赤外線を受け取って作動しますが、ブローバック式のモデルガンはほとんど赤外線を放出しないため、リボルバーやスタンダードなオートマチックが主に対応機種となります。ブローバック式モデルガンに対しては、赤外線発光装置が別途必要です。MGCは、エイムポイントを模したスコープ型の発光装置「レッドポイント」や「エースポイント」を発売し、発光装置を組み込んだM16用ハンドガードも展開しました。

対応モデルガン

MGCは、シューターワンに対応するモデルガンとして、リボルバーではM586とM686を、オートマチックではレッドポイント装着モデルとしてGM5、GM2、エースポイント装着モデルのGM59などを発売しました。長物ではM16A1に発光装置を内蔵したハンドガードを付けたモデルも提供されています。他社ではウェスタンアームズがスタームルガーセキュリティシックスおよび関連モデルを許可し、AR-7モデルもレッドポイントが装着されていました。

性能

シューターワンは、モデルガンから放出される赤外線の指向性に依存し、作動距離はおおむね10メートル以内。光の乱反射や直射日光下では誤作動することがあります。また、短銃身のモデルガンでは赤外線が拡散しやすいため、複数のシューターワンを近距離に設置すると同時に作動することもあります。このため、受光部を小さくしたオプション品「アキュラシーポイント」が発売され、精度向上が図られました。

シューティングマッチ

シューターワンの登場により、MGCは従来の早撃ちタイム競技から進化を目指しました。アメリカのシューティングマッチ「ビアンキカップ」の名称使用許可を得て、「ジャパンビアンキカップ」を開催しましたが、ターゲットの精度の限界から競技は徐々に衰退し、最終的にはエアソフトガンを使用したイベントにシフトせざるを得ませんでした。このように、シューターワンの導入は皮肉なことにエアソフトガンの需要を高める結果となりましたが、所持許可の必要がないエアソフトガンによる新しい競技形態を切り開いた点で遊戯銃業界に貢献したと評価されています。

シューターワン