ショウジョウバカマ

ショウジョウバカマ（猩々袴）

ショウジョウバカマ（学名：Heloniopsis orientalis）は、メランチウム科ショウジョウバカマ属に分類される多年草です。日本では北海道から九州にかけての、やや湿った場所に自生しています。その生育範囲は広く、人里近くの田んぼの畦道から高山帯の高層湿原まで見られます。

特徴

ショウジョウバカマの葉は、幅の広い線形でなめらかです。根元から多数の葉が放射状に広がり、ロゼット状になります。花茎はロゼットの中心から伸び、花の成熟前は10～30cm程度ですが、成熟すると1m近くまで成長することがあります。花序は花茎の先端に横向きに形成され、花の色は生育場所によって淡紅色、紫色、白色と変化に富んでいます。花期は、低山では3～4月ですが、高山では雪解け後の6～7月になります。

特徴的なのは、花が終わった後も花被が残ることです。色はあせていきますが、咲いた時の形を保つため、夏に緑色の花が咲いているように見えることがあります。種子は長さ約5mmで細長く、一つの蒴果の中に40～60個が格納されます。種子は、春化処理を経ることで発芽します。

繁殖

ショウジョウバカマは、種子による繁殖の他に、葉の先にできる不定芽によっても増殖します。不定芽は主に株齢3～6年で、ロゼットの直径が200mm以上の株に9～10月頃形成されます。1枚の葉に1つ、1株あたり0～10個程度形成され、ロゼット直径が430mm以上の株には3個以上の不定芽が形成されることが多いです。1株に形成される不定芽の約80%は、先に出た下層1/4の葉にできます。

不定芽は、葉の先端から約0.5mm基部に形成される高さ0.1～0.2mm、長さ約1mmのカルス様の突起から発生し、その中心部から不定芽と不定根がほぼ同時に現れます。不定芽の分離は、不定芽が形成された翌年の6～7月に、不定芽のある親株の葉が朽ちていくことで起こります。

また、葉が親株から切り離された場合、ほぼ確実に葉の先端に不定芽が形成され、場合によっては基部の切断面からも形成されることがあります。このメカニズムは明確ではありませんが、植物ホルモンのジベレリンが関与している可能性が示唆されています。

名前と類似種

ショウジョウバカマの名前は、赤い花を中国の伝説上の動物である猩々に見立て、根元の葉の重なりが袴に似ていることに由来すると言われています。葉の様子が似ている植物にノギランがありますが、ノギランの花は穂状に咲く点でショウジョウバカマと区別できます。

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