シラヤマギク

シラヤマギク（Aster scaber）

シラヤマギクは、キク科シオン属に分類される多年草の一種です。秋の山地に自生し、ひっそりと白い花を咲かせる姿が特徴です。

特徴

草姿: 草丈は1〜1.5mに達し、直立した茎の先端に散房状に花をつけます。
葉: 根生葉は花期には枯れます。茎の下部につく葉は卵心形で、縁には鋸歯があります。葉の表面はややざらつき、洋紙のような質感です。茎の上部にいくにつれて葉は小さくなり、葉柄も短くなります。
花: 開花時期は8〜10月。直径18〜24mmの頭花をつけます。舌状花は6枚程度と、同属の植物の中では少なめです。総苞は長さ4〜5mmで、瓦状に重なる苞で構成されています。
果実: 痩果は長さ3〜3.5mmの倒披針状長楕円形で、冠毛があります。
* 和名: 白い花を咲かせ、山に生えることから「白山菊」と名付けられました。紫色の花を咲かせるコンギクに対する名とされています。

分布と生育環境

日本では沖縄を除くほぼ全域に分布し、国外ではアジア大陸の北部に広く分布しています。丘陵地の明るい雑木林や林縁、山地の崩壊地などに生育します。かつては、オミナエシやワレモコウなどと共に茅原を代表する草花でした。

分類・類似種

秋に白い花を咲かせる野菊は多いですが、シラヤマギクは茎の下部の葉が卵心形である点で区別できます。同属のコモノギクやサワシロギクなどとは、痩果が円筒形であるという特徴を共有しますが、これらの種は花が小さくまばらであるため、シラヤマギクに比べて見栄えが劣ります。サワシロギクとは雑種を形成することがあり、ナガバシラヤマギクと呼ばれます。

利用

若い芽は食用とされ、ヨメナに対してムコナと呼ばれることがあります。花の観賞価値については、舌状花がまばらで地味であるものの、他の秋の野草と群生する姿は美しいと評されています。しかし、単独での鑑賞価値は低いと考えられています。栽培されることはほとんどありません。

シラヤマギクは、その控えめな美しさで、秋の山野を彩る野菊です。

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