シリウスの伝説

『シリウスの伝説』

『シリウスの伝説』は、辻信太郎による児童文学作品であり、1981年にサンリオから出版されました。本作は、同年に公開されたアニメ映画の原作としても知られています。物語は、水の国の王子シリウスと火の国の王女マルタの禁じられた恋愛を描いています。

概要

この作品は、1981年に発売され、その後1990年には新装版、2009年にはサンリオ創立50周年を記念した特別装幀版がリリースされています。アニメ映画『シリウスの伝説』は、英国で「Sea Prince and the Fire Child」として知られ、1981年7月18日に公開されました。アニメーションの制作は、サンリオの映画製作部が担っており、さらにこの作品のアニメーションは、当時としては珍しい24コマ/秒のフルアニメーションであり、ハンドトレス技術が使用されています。また、アニメーション製作のノウハウを活かし、ワンキャラクター＝ワンアニメーター制が採用されています。

さらに、映画では特に『シンフォニメ』と呼ばれる、フル編成のNHK交響楽団による演奏が映像と共に楽しめる形式も特徴的です。物語の構成は、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を火と水の世界に置き換え、神話的な宇宙観の中で展開されています。

あらすじ

物語の舞台は、真っ赤な火と青い水が渦巻く世界です。火の女王テミスと水の王グラウコスは、元々は仲の良い姉弟でしたが、風の神アルゴンの嫉妬から、互いに信じることができなくなり、激しい対立が生まれます。この争いの騒動は、大神によって引き起こされ、風の神アルゴンはその力の源を奪われ、深い海の底に閉じ込められます。

時が経つ中、グラウコスから授けられた力を持つ水の精シリウスと、テミスの娘であるマルタは運命的に出会い、恋に落ちるものの、それぞれの王によって捕らえられてしまいます。この彼らの恋は、一族の掟を破るものであり、二人は90年に一度だけ訪れる「火と水が共に生きられる星」を目指して、特別な花「クライン草」の胞子を求めて旅に出ることを決意します。

主要キャラクター

シリウス

主人公で、水の一族の少年です。グラウコスから王位を継ぐ者として選ばれますが、火の女王の娘マルタとの禁断の恋に悩まされます。好奇心旺盛な彼は、友人である一角鮫の少年チークと共に海で遊びながら運命に立ち向かいます。

マルタ

火の女王の娘で、熱い情熱を持った王女です。彼女は、シリウスとの愛を守り続けるためには、時には掟を破る勇気をも必要とします。

チーク

シリウスの忠実な友である一角鮫の少年です。明るい性格の彼は、シリウスの危機を助けるため奔走するものの、その行動がさらなる悲劇を引き起こすことになります。

グラウコス

水の王であり、シリウスの父代わりの存在です。彼は、シリウスとマルタの関係に从って対立し、最終的に二人の悲劇を真正面から受け止めます。

テミス

火の女神で、マルタの母です。彼女は娘の運命を知り、その愛を許すためには勇気が必要です。

影響と人気

『シリウスの伝説』は、アニメグランプリで8位にランクインし、その影響力は現在も色あせていません。また、サンリオピューロランドでは、本作をもとにしたミュージカルやパレードも行われ、幅広いファンに親しまれています。

本作は、愛と葛藤の物語を描いた作品であり、後世に語り継がれる名作となっています。

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