シリーズレギュレータ

シリーズレギュレータの解説

シリーズレギュレータとは、電気回路で電圧を安定させるための定電圧直流電源の一種であり、その名の通り、電圧制御素子が負荷と直列に接続されています。主に、リニアレギュレータとして知られるタイプに分類されます。

基本的な動作原理

シリーズレギュレータは、トランジスタなどの素子を負荷に直列接続し、過剰な電圧分をこの素子で消費することで、負荷に供給される電圧を一定に保ちます。この過程では、過剰電圧が熱に変わり、最終的にはエネルギー損失となります。

スイッチングレギュレータとの比較

一方、スイッチング制御を用いるスイッチングレギュレータと比較すると、シリーズレギュレータは電力損失が多くなりますが、電源リプルやノイズが少ないため、安定した出力を提供できます。また、回路の面積が小さく、コストも低めとなっているため、小電力回路の電源として広く使われています。

シリーズレギュレータの中で特に有名なものに、三端子レギュレータIC78や79シリーズがあります（**には出力電圧の数字が入ります）。これらのICは、コンデンサーを2つ接続するだけで高い精度を持ち、各種保護回路が備わっているため、非常に便利に使用できます。また、相補形金属酸化被膜集積回路（CMOS IC）で設計されたものもあり、小型携帯機器での利用が進んでいます。

シャントレギュレータとシリーズレギュレータの違い

シリーズレギュレータの理解を深めるためには、シャントレギュレータとの比較が役立ちます。シャントレギュレータは、ツェナーダイオードを利用して電圧を調整します。この場合、電源電圧がツェナーダイオードの降伏電圧よりも高いと、ツェナーダイオードを通じて一定の電圧が維持されます。ここでは、余分な電圧と電流が熱に変わり、全てがロスになります。

一方、簡単なシリーズレギュレータでは、トランジスタが主な役割を果たし、より効率的に負荷に電流を供給します。トランジスタは、負荷の電流が変化する際に、ベースとエミッタ間の電圧を調整し、自動的に適応することで、負圧帰還を形成しつつ負荷電圧を安定させます。この点がシャントレギュレータとは大きく異なる部分です。

オペアンプによる制御

さらに、シリーズレギュレータではオペアンプを用いた制御が一般的です。これにより、設定した理想的な電圧と実際の出力電圧を比較し、負帰還をかけることで、より高精度な電圧安定化が実現されます。これにより、ツェナーダイオード単独での問題を克服し、システム全体の安定性を向上させることが可能です。

まとめ

このように、シリーズレギュレータは、そのシンプルな構造にもかかわらず、高い安定性とコストパフォーマンスを提供するため、特に低電力用途で広く利用されています。実際の回路設計では、電圧安定化技術を持つこのデバイスの利点を生かすことが重要であり、様々な分野での応用が期待されています。

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