シルクウェイ・ラリー

シルクウェイ・ラリーの概要

シルクウェイ・ラリー（Silk Way Rally）は、ロシアを中心としたラリーレイドイベントであり、その名は歴史的な貿易路であるシルクロード（シルクルート、一帯一路）に由来しています。2009年に初めて開催され、当初はロシア連邦内のみでの実施でしたが、2014年から2015年にかけての休止期間を経て、2016年からは中国を含むルートに戻りました。しかし、2020年の新型コロナウイルス感染症の影響により再び中断し、2021年以降は再びロシア国内でのみ開催されています。

このイベントは、ダカール・ラリーと並び、2500kmを超える距離を走行する「クロスカントリー・マラソン」として定義されるものの一つです。通常、競技は約1週間で5000km程度の距離をカバーしますが、2016年には北京からモスクワまでのルートで17日間にわたり10780kmを走破しました。この距離は、同年のダカール・ラリーの9200kmを大きく上回り、シルクウェイ・ラリーとしては最大規模となりました。しかし、パンデミック以降はその距離が短縮され、2021年には最短の3138kmとなっています。

2018年には安全上の理由から、ロシアと中国でステージを分け、それぞれ7月と9月に開催されました。この際、ほとんどの外国の有力チームはロシア側（第1ステージ）のみ参加しました。

シルクウェイ・ラリーは当初、ダカール・ラリーのオーガナイザーであるASO（Amaury Sport Organisation）が運営に関わっており、2009年から2011年までは「ダカール・シリーズ」の一部としても扱われていました。シルクウェイはダカールと同様にFIA（国際自動車連盟）の規則とは異なる独自のルールを採用しており、特にダカールとシルクウェイにのみ参加するチームも存在しました。ただし、ダカールは2022年以降、FIAの規定に合流しました。

シルクウェイ・ラリーは2019年から二輪部門を追加し、より多くの選手に開かれたイベントとなりました。しかし、2022年以降、ウクライナ侵攻の影響で海外からの参加者はほぼ皆無になり、国際的なラリーイベントとしての地位は失われ、実質的にロシア国内ラリーに降格してしまいました。ダカールで活躍するカマズのワークスチームも現在ではシルクウェイで活動を続けています。

2023年には、このラリーがロシアの外交的・軍事的な政治目的に利用されていることが調査によって明らかになりました。「シルクウェイ・コミュニケーション・プラットフォーム」という文書には、サウジアラビアやトルコへの影響力を行使し、中国とロシアのシベリア電力2ガスパイプラインの建設支援、さらにはクリミアをロシアの領土と認めるという条件が強調されています。また、2022年には、イランやアフガニスタン、タジキスタン、中国、ウズベキスタン、トルクメニスタン、シリア、トルコを経由するルートが計画されていましたが、ウクライナ侵攻の影響により多くの国が協力しない姿勢を示し、計画は頓挫しました。さらに、レースディレクターのヤンボリソフはロシア連邦軍参謀本部情報総局（GRU）との緊密な繋がりを持ち、2022年にはGRUの副長官から勲章を受けたことが調査によって確認されています。

関連項目

• - ダカール・ラリー
• - ウラジーミル・チャギン

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