シロマツ

シロマツ（学名：Pinus bungeana）は、マツ科マツ属に属する常緑性の高木です。その特徴的な樹皮の色から白松と呼ばれ、ハクショウやサンコノマツといった別名でも知られています。中国の中西部を原産とするこの木は、特に観賞用として世界中で珍重されています。

マツ属の植物は、一般的に針葉の本数によって大きく二つのグループに分けられます。二葉や三葉を持つPinus亜属と、五葉を持つStrobus亜属です。シロマツの針葉は通常3本が束になってつきますが、針葉の断面を観察すると維管束が一つしかありません。この維管束が一つであるという特徴は、五葉マツ類であるStrobus亜属に見られるものです。このように、シロマツはPinus亜属とStrobus亜属の両方の性質を併せ持つことから、近年ではDucampopinus亜属という独立したグループに分類されることが多くなっています。これはマツ属の中では分類学上、特異な存在と言えます。

和名のシロマツや漢字表記の白松、そして別名のハクショウはいずれも、成長と共に白色へと変化するその独特の樹皮に由来しています。英語でも「white bark pine」（白い樹皮のマツ）や「lacebark pine」（滑らかな樹皮のマツ）と呼ばれ、その特徴をよく表しています。学名の種小名 bungeana は、東アジアの植物を詳細に調査したドイツの植物学者、アレクサンダー・フォン・ブンゲ氏に敬意を表して名付けられました。

シロマツは中国の固有種であり、自然な分布域は陝西省、四川省、甘粛省といった中国中西部の山岳地帯に限られています。現在、他の地域で見られるシロマツは、ほとんどが人為的な植栽によるものです。

成木は樹高が最大で30メートルほどに達し、堂々とした姿を見せます。針葉は長さ約6～10センチメートルで、通常3本が一束になって生えます。シロマツの最も顕著な特徴であり、その名の由来ともなっているのが樹皮です。若い木では緑褐色に斑模様が入っており、薄片状に剥がれ落ちることで迷彩柄のように見えます。成長が進むにつれて、剥がれ落ちた後に現れる新しい樹皮がより白くなり、最終的には幹全体がほぼ真っ白になります。この樹皮は一般的なマツの厚く割れた樹皮とは異なり、非常に滑らかでツルツルしています。まるでカエデやプラタナスといった特定の広葉樹の樹皮に似た質感で、その白さとともに景観上の大きな特徴となります。球果は長さ約6センチメートルの卵形をしており、秋に熟します。

シロマツは比較的寿命の長い樹木として知られており、中国国内では樹齢が千年を超える古木も確認されています。これはマツの仲間全体で見ても長命な部類に入ります。世界的に見ると、最も長寿とされるマツは北米のPinus longaevaで、樹齢が5000年近い個体も報告されていますが、シロマツも数百年にわたり生育することが可能です。

その美しい樹形と特に目を引く白い樹皮のため、シロマツは世界各地で庭園木や街路樹として盛んに利用されています。アジアの多くの地域では、その風格と長寿から、寺院や歴史的な場所で聖なる木として大切に植えられています。また、この木の種子には食用価値があり、ナッツとして消費されることがあります。さらに、中国の伝統医学では「白松塔」という名前で漢方薬の原料としても用いられるなど、単なる観賞用にとどまらない多様な用途を持つ樹木です。

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