シンクイムシ

シンクイムシ：植物の芯を食べる害虫

シンクイムシとは、植物の茎や果実、新芽などの柔らかい組織に穴を開けて内部を食い荒らす昆虫の総称です。果実や茎、新芽を食べることから、英語ではfruit borer、shoot borer、stem borerなどと呼ばれます。厳密な分類ではなく、主にチョウ目（鱗翅目）に属する昆虫を指し、農林業における重要な害虫として認識されています。

シンクイムシの生態は、種類によって異なりますが、多くの種が卵から幼虫、蛹を経て成虫へと成長します。幼虫期に植物組織内部で摂食活動を行い、その食害によって植物の生育不良や枯死を引き起こします。被害の程度は、発生密度や植物の種類、生育段階などによって大きく変動します。

シンクイムシの種類

チョウ目の中でも、シンクイムシとされる種は複数の科にまたがって存在します。穿孔性を持つ昆虫は他にも多数存在しますが、シンクイムシと呼ばれるのは、主に農作物への被害が大きい種です。ここでは、代表的なシンクイムシの種類を挙げ、それぞれの概要を説明します。ボクトウガ科やスカシバガ科など、木質部を加害する種は、本稿では対象外とします。

1. シンクイガ科

モモシンクイガ（Carposina sasakii）: モモやリンゴなどの果実に被害を与えます。幼虫は果実内部を食い進み、外観を損なうだけでなく、商品価値を著しく低下させます。

2. ハマキガ科

*ナシヒメシンクイ（Grapholita molesta）: ナシ、モモ、リンゴなど多くの果樹に寄生し、果実や新梢に被害を与えます。幼虫は果実内部や新梢に穿孔し、生育阻害や品質低下を引き起こします。

3. ツトガ科

ツトガ科には、多くのシンクイムシが含まれます。代表的な種を以下に挙げます。

*アワノメイガ（Ostrinia furnacalis）: イネ科植物、特にトウモロコシやイネに大きな被害を与えます。幼虫は茎内部を食害し、折れやすくしたり、生育を阻害します。
*ヨーロッパアワノメイガ（Ostrinia nubilalis）: アワノメイガと同様にイネ科植物を食害しますが、ヨーロッパ原産のため、日本では一部地域での発生が確認されています。
*アズキノメイガ（フキノメイガ）（Ostrinia scapulalis）: アズキなどのマメ科植物、フキなどのキク科植物を加害します。幼虫は茎や葉柄内部を食害します。
*ニカメイガ（ニカメイチュウ）（Chilo suppressalis）*: イネの害虫として有名です。幼虫はイネの茎内部を食害し、倒伏や白穂を引き起こします。

シンクイムシへの対策

シンクイムシの防除には、適切な農薬の使用や、抵抗性品種の栽培、耕種的防除などが有効です。発生状況を把握し、適切な時期に適切な対策を行うことが重要です。また、天敵を利用した生物的防除も有効な手段の一つです。

本稿ではシンクイムシの概要について記述しましたが、それぞれの種についての詳細な生態や防除方法は、専門書などを参照してください。

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