シングルスキン構造

シングルスキン構造

シングルスキン構造とは、鉄道車両の構体構造の一種です。

開発の経緯

初期のアルミニウム合金製構体は、鋼鉄製構体と同様に外板と骨材を溶接する構造でした。しかし、アルミニウム合金は熱伝導率が高く、融点が低いため、溶接には高度な技術が必要でした。また、材料費が高額だったため、製造コストが課題となり普及しませんでした。

その後、大型押し出し成形材の製作技術が進歩し、外板と骨材の一部を一体化成形できるようになりました。これにより、構体製作時の溶接量が大幅に減少し、比較的低コストでアルミ合金製の構体を製作できるようになり、アルミニウム合金製車両の一般化に貢献しました。

特徴

基本構造は、アルミニウム合金の大型押し出し成形材の内側にT字状の突起を形成し、そこに柱や梁などの骨材を溶接した構造です。

利点

骨材の一部を外壁と一体化することで、骨材の簡素化と製造工程の簡略化を実現できる。
軽量かつ低コストな構体を実現できる。

欠点

構造上、剛性に余裕がなく、極端な軽量化は剛性不足を招く。
外壁が薄い一枚板であるため、防音・断熱性に劣る。

現在の状況

最近では、押出成形技術の進歩によって大型の中空型材の製作ができるようになり、ダブルスキン構造が主流になっています。ダブルスキン構造は、構体重量以外の面（剛性、強度、防音）で優れているため、シングルスキン構造の採用例は減少傾向にあります。

参考文献

大西剛司 (2005年11月). "より強く、より軽い構体を探求する" (PDF). 近畿車輛技報12号（2005-11）. https://web.archive.org/web/20071111043720/http://www.kinkisharyo.co.jp/gihou/pdf/No12/p47-52.pdf 2023年12月27日閲覧。

関連項目

アルミニウム合金製の鉄道車両

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