シークエント・コンピュータ

シークエント・コンピュータの歴史と影響

シークエント・コンピュータ（Sequent Computer Systems）は、1983年に設立されたアメリカのコンピュータ企業であり、1999年まで活動していました。この企業は対称型マルチプロセッサ（SMP）技術のリーダーとして知られ、特にオープンシステム向けに高性能なコンピュータシステムを設計・製造していました。彼らの技術はハードウェアとソフトウェアの両面で多数の革新をもたらし、業界における重要な存在でした。

企業の設立と初期の製品

シークエントは、インテルを辞めた18人のエンジニアと経営者たちが、iAPX 432プロジェクトの中止を受けて設立しました。最初の製品であるBalanceシリーズは1984年にリリースされ、最大20個のナショナルセミコンダクター製マイクロプロセッサを搭載し、BSD UNIXを基盤にした独自のオペレーティングシステムDynixが動作していました。

その後、1987年にはSymmetryシリーズが登場し、これはi386アーキテクチャを使用し、最大30のプロセッサをサポートしました。Symmetryシリーズは特にビジネスや政府、教育機関に受け入れられ、対称型マルチプロセッサの市場において一時的な成功を収めました。

技術的革新とパートナーシップ

シークエントはオラクルとの緊密な連携を通じて、ハードウェアとソフトウェアの最適化を図り、それが彼らの成功に寄与しました。特に1993年にはSymmetry 2000/x90がリリースされ、Oracle Parallel Server向けに特化した高信頼性のソフトウェアを搭載していました。

しかし市場の変化により、1990年代後半にはハイエンド市場が縮小し、シークエントは新たな差別化戦略を模索しました。最終的に、NUMA（Non-Uniform Memory Access）アーキテクチャを基にした新しいプラットフォームであるNUMA-Qを開発し、これをもって再度市場へのアプローチを試みました。

IBMによる買収とその後の結果

1999年7月、シークエントはIBMに約81億ドルで買収され、その後もNUMA技術を生かした製品が展開されることとなりました。IBMはシークエントの技術を組み込んだ新たなサーバー製品を発表しましたが、シークエントの名は次第に消えていくことになります。

シークエントの買収は単に技術を得る以上の意義を持っており、特にサン・マイクロシステムズとの競争を避けるために行われた可能性もあると言われています。シークエントが持つ技術はIBMのサーバ戦略を大きく変えるものであり、以後のサーバ市場でもNUMA技術は重要な役割を果たすこととなりました。

企業の影響と技術の遺産

シークエント・コンピュータの誕生から消滅に至るまで、彼らが残した技術と理念は後のコンピュータ技術に少なからぬ影響を及ぼしました。NUMA技術は、現代のマルチプロセッサシステムにおいても重要とされ、シークエントの革新は今もなお評価されています。

企業の継続的な発展の中で、UNIXを基盤にしたシステムやハードウェアにおける関連プロジェクトは、彼らの遺産の一部として現在も存在し続けています。シークエントは、コンピュータ業界におけるその革新性から、記憶され続ける企業であり続けることでしょう。

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