シークレット・メッセージ

エレクトリック・ライト・オーケストラ (ELO)『シークレット・メッセージ』 (1983) の魅力

1983年に発表されたエレクトリック・ライト・オーケストラ（ELO）のアルバム『シークレット・メッセージ』は、ELOの音楽性の多様性と実験精神が色濃く反映された作品です。前作『タイム』からシンセサイザーの使用を抑え、ギターや生楽器を重視したバンドサウンドへの回帰が見られる一方で、デジタルドラムマシンを多用したエレポップ的な要素も取り入れられています。ELOとして初めてデジタル録音されたアルバムとしても知られています。

このアルバムは、元々ダブルアルバムとして企画されましたが、レコード会社の意向により1枚に縮小されました。しかし、完成していた2枚組分の楽曲は、シングルのB面やリマスター盤のボーナストラックとして日の目を見ることになります。2018年には、当初の構想に近い形で6曲を追加した2枚組LPが発売され、ファンを喜ばせました。

『シークレット・メッセージ』というタイトルが示すように、アルバム全体には様々な「隠されたメッセージ」が散りばめられています。歌詞や曲の合間には、ザ・ビートルズやデル・シャノンへのオマージュ、そして当時のジェフ・リンを取り巻く状況に対する皮肉などが込められています。これらのメッセージを探すのも、このアルバムの楽しみ方の一つです。

楽曲について

アルバムには、ELOの代表曲の一つである「ロックン・ロール・イズ・キング」が収録されています。この曲では、1977年の『アウト・オブ・ザ・ブルー』以来となるミック・カミンスキーのヴァイオリンソロがフィーチャーされています。また、「シークレット・メッセージ」は、モールス信号のようなシンセサイザーが印象的な楽曲で、シングルカットもされました。「フォー・リトル・ダイアモンド」は、ビートルズを意識したサウンドが特徴です。

ダブルアルバム構想時の未発表曲も、リマスター盤などで聴くことができます。「Beatles Forever」は、歌詞にビートルズの楽曲名が多数盛り込まれた楽曲ですが、ジェフ・リン自身が「ビートルズに媚びている」と感じたため、長らくお蔵入りとなっていました。「エンドレス・ライズ」は、後のアルバム『バランス・オブ・パワー』にも収録されますが、『シークレット・メッセージ』収録バージョンとは一部ミックスが異なります。

メンバーについて

『シークレット・メッセージ』は、ベーシストのケリー・グロウカット、ストリングス指揮者ルイス・クラークにとって最後のアルバムとなりました。また、ELOにとっても商業的に成功した最後のアルバムの一つです。ルイス・クラークは前作『タイム』には不参加でしたが、本作で復帰しています。ただし、ストリングスの使用は限定的です。

『シークレット・メッセージ』は、ELOの創造性と遊び心が詰まった、聴きごたえのあるアルバムです。バンドサウンドとデジタル要素の融合、隠されたメッセージ、そして未発表曲の発掘など、様々な魅力が詰まっています。

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