シードホール

シードホール (THE SEED HALL)

シードホールは、東京都渋谷区にかつて存在した多目的スペースであり、劇場、映画館、展覧会場、ライブスペースなどの多様な機能を持ち合わせていました。この施設は、セゾン美術館やスタジオ200と並び、西武百貨店の文化的活動の一環として位置づけられていました。

沿革

1986年2月、シードホールは西武百貨店渋谷店のシード館(現在のmovida館)の10階にオープン。その後、演劇や映画、音楽コンサートなど、様々なジャンルのイベントが実施されました。内装は可動式の座席を採用しており、柔軟に開放される空間で多くの観客に対応可能でした。

開館初年度は、シード館全体のプロモーションに力を入れ、多くの資金が投入されましたが、2年目以降はシードホールの独自の企画へシフトしました。当時の渋谷店長の水野誠一の意向により、外部への貸し出しや無料イベントは行わない方針が定められていました。

初期の活動

シードホールは、初期から演劇公演に積極的でした。特に若手劇団の公演が頻繁に行われ、宮城聡や平田オリザなどの作品が上演されました。1991年にスタジオ200が閉館すると、シードホールは多くの舞踊家たちの新たな公演地となりました。

全盛期

1987年からはアート系映画の上映が頻繁に行われ、渋谷のミニシアターとしても認知されるようになりました。有名な監督の作品や、独立系配給会社からの作品が紹介され、多くの視聴者を惹きつけました。特にマン・レイやアンディ・ウォーホルに関連する特集上映など、国際的な才能の作品が取り上げられる一方、地域の文化活動にも寄与しました。

衰退と閉館

1990年代に入ると、西武百貨店の経営悪化が影響し、シードホールも存続の危機が訪れました。1995年2月、わずか9年の運営を経て閉館。閉館イベントは行われず、関係者にのみ挨拶状が送られました。以降、西武百貨店の文化関連施設は次々と閉鎖されることとなりました。

エピソード

シードホールでアルバイトをしていた作家の阿部和重は、彼の小説の中にこの場所を登場させています。また、ナンニ・モレッティ監督が出演予定だったが急遽来日できなくなるエピソードなども残されています。

結論

シードホールは、現代のアートや演劇、映画文化に大きな影響を与えた施設として記憶されています。その多彩なプログラムと独自性は、今なお多くの人々に親しまれ続けています。

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